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AI画像解析で混雑情報 地方ベンチャーの底力

NHK
2021年7月28日 午後2:34 公開

東京メトロのスマートフォンアプリで、列車の混雑状況を色で示すサービスが、7月に一部の路線で導入されました。車両ごとに、混み具合に応じて青や赤などで色分けして表示されます。開発したのは盛岡市のベンチャー企業。最先端技術を生み出す底力とは。

どの車両が混んでいる? 十数秒で情報提供

混雑状況を示すシステムは、駅のホームに設置されたカメラで電車の内部を窓越しに撮影し、車両ごとに乗客までの距離を計測。そのデータをもとに、AI=人工知能が混雑状況をリアルタイムで推定して、結果をアプリに送るというものです。

これまで、混雑状況の把握は社員による目視などで行ってきましたが、新たなシステムでは、わずか十数秒で乗客に提供できます。

輸送課の足立茂章課長補佐は「分析する速度が非常に速い。“密”の防止などに対して、このシステムが非常に有効性がある」と話します。

“距離”をAIで分析する技術力を評価

このシステムを開発したのが、盛岡市のベンチャー企業「サイバーコア」です。社長の阿部英志さんは、岩手大学の技術職員として長年にわたり画像解析を研究。その蓄積を新たな技術の開発に生かしてきました。

混雑状況を示すアプリの開発で、大手企業をしのぐ評価を受けたのが、計測した人との距離を分析する技術です。撮影した画像をAIが短時間で分析し、遠いと赤、近いと青で表示します。

盛岡から世界を目指す カギは人材確保

こうした最先端技術を開発するうえで、阿部さんが力を入れてきたのが、優秀な人材の発掘です。地方から世界に通用する技術を目指そうと、留学生などを積極的に採用してきました。さらに、成長著しいベトナムにいち早く目を付け、現地に開発チームも立ち上げました。

阿部さんは「世界に勝っていくためには、性能のいいものを作らないといけない。レベルの高い人を採用していくと、その場でパッと発明できる。そこは、うちの強みにしていきたい」と話します。

こうして集めた社員に、論文の執筆やコンペへの参加などを積極的に促し、最先端で常に技術を競い合う環境を整えてきました。その結果、ことし行われたAIを使った画像解析の世界的なコンペで、輪郭を正確に捉える技術などが評価され、優勝を果たしました。

阿部さんたちの技術は、今後は自動運転などにも活用が期待されていて、最近は、アメリカやシンガポールなど海外の企業からも相談が寄せられています。

阿部さんは今後の目標について「岩手から上場企業を出したいなというのは一つある。最先端の技術を世界に売っていく。それを一歩ずつ実現していきたい」と話しています。

優秀な人材を確保し、地方から直接、世界に向けて勝負する。デジタル化の加速で、そうした環境が整ってきたと言えるのではないでしょうか。

(盛岡放送局 記者 光成壮)

【2021年7月28日放送】