活況!“起業サークル”

NHK
2022年2月22日 午前11:17 公開

若者の間でみずから会社を立ち上げる「起業」への関心が高まっています。大学でも起業のアイデアを磨いたり資金調達の方法を学んだりするサークルや部活動が人気を集めています。

「サークル」「部活」で高まる起業熱 社会課題の解決が原動力に

東京の上智大学で2022年2月、起業の勉強会が行われました。大学の出身者でネット企業などを立ち上げた起業家たちが、「起業家がいっぱい出てきてチャレンジするから、本当に成功する大きい企業が生まれる」とみずからビジネスをつくり出す意義を熱く語りました。 

参加したのは、2021年に設立された「起業サークル」の学生たちです。在籍者は100人を超えています。    

このサークルの代表で1年生の酒井天音さんは「コロナで社会が不安定になったので、不安を感じて『自分で生きていくしかない』という価値観になった。自分の力で進んでいくことに私は魅力を感じる」と話します。

広島大学には「起業部」があります。起業を目指す学生たちが週に1度、事業アイデアを持ち寄って議論を交わしています。

学生たちは身近な課題からビジネスのヒントを見つけようとしています。取材した日に1年生が発表したアイデアは、食器のシェアリングサービス。「利用者が食器を届けてもらい、洗わないで返せるサービス」と説明したところ、メンバーからは「マンション単位で導入したらできそう」といった声があがっていました。

地方の移動問題にビジネスで挑む 大学4年生の起業家

部員の1人で広島大学4年生の板垣翔大さんは22年1月、地方の移動問題を解決する事業を行う会社を立ち上げました。

板垣さんは「みんなからフィードバックをもらいながら自分の事業アイデアをブラッシュアップしてきた。本気で自分が解決したいと思う事業に出会えたので起業しようと」決意したといいます。

板垣さんのビジネスは次のような仕組みです。例えばタクシー会社が、移動に困っている地域で提供できる乗り合いや定額制などのサービスを専用のウェブページに掲載します。

住民は、その中でお金を払ってでも利用したいサービスがあれば利用料を事前に支払います。

タクシー会社は十分なニーズがあると判断できれば、支払われた金額分の利用チケットを配りサービスを始めるという仕組みです。

ウェブページでは、住民側からタクシー会社に始めてほしいサービスを要望する機能もつけました。

板垣さんは広島市内のタクシー会社「つばめ交通」にサービスを売り込みに行きました。対応した統括管理本部企画室の山内康平室長は「人間関係が希薄になっているので、強固な(需要)調査ができない」と明かし、連携に向けて商談を続けていくことになりました。

板垣さんは「(コロナ禍で)苦しい環境だが、課題がたくさんあるということは僕たちも必要とされるということ。しっかり取り組んでいきたい」と話しました。

Z世代の発想は起業の「チャンス」

板垣さんら若手起業家にノウハウや資金の支援を行っている会社「ガイアックススタートアップスタジオ」は、若者ならではの発想力に期待しています。

責任者の佐々木喜徳さんは「(90年代半ば以降に生まれた)Z世代の半数以上が、コロナを通して社会課題を身近に感じている。課題感が高ければ高いほど新しい産業が生まれやすくなったり、新しいサービスを思いつく人が多くなったりするので、チャンスだと思っている」と話しました。

広島のタクシー会社の担当者も、デジタル化で社会がかなりのスピードで変化する中、若い人の対応力や気づきに可能性を感じていると話していました。若い世代からどんなビジネスが飛び出すか、期待されます。

(経済番組 ディレクター 馬場卓也)

【2022年2月22日放送】

この記事は動画でもご覧いただけます(ココをクリック)

あわせて読む

“恩送り”で社会は変わる?ソーシャルビジネス続出の理由

「ガクチカ」が書けない…コロナで就活生はどうすれば?

Z世代の消費に学ぶ コロナ禍を生きるヒント

ゲーム業界に新星 小学生のクリエーター兄弟

韓国 なぜ増えるユニコーン企業