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デジタル通貨 日本発の技術に注目

NHK
2021年9月28日 午後1:37 公開

デジタル通貨」は、中央銀行が発行し、お札と同じように使える電子的なお金。日本でも研究が始まっています。中国ではデジタル人民元を市民に配る大規模な実証実験が進んでいるほか、カンボジアなど実際に運用を始めた国もあります。

そうした中、日本のあるベンチャー企業の技術が世界から注目されています。

瞬時・低コストで海外送金 ネパールが期待するシステム

東京都内にある創業4年目のベンチャー企業は、国境を越えた送金をスマホで瞬時に低コストで行うシステムを開発しました。このシステムに目を向けている国のひとつがネパールです。

取材した日、システムの導入に向けて、ネパールの窓口となる経済団体幹部と協議が行われていました。

ネパールでは、銀行口座を持っていない人でもスマホはほとんどの人が持っています。デジタルで買い物や預金、国際送金などができるようになれば、利便性が高まると期待しています。

ネパールの経済団体幹部のヒラチャン氏は協議の中で「(ネパールは)銀行口座を持っていない人が30%以上いる。システムができれば、全ての国民がお金のやり取りができるようになる」という見方を示しました。

その上で「ネパールの国、経済を支えるために、安くて安心で早くできる技術をぜひやってほしいというネパール政府からの要請が強い」と話しました。

協議に参加したシステムの開発者、日下部進さんは「メリットはコストが安く運用できること」と説明したうえで、「デジタル通貨は(金融面で)不自由を感じている国のほうが早く立ち上げることができるのではないか」という考えを示しました。

「フェリカ」開発で培われたセキュリティー

日下部さんはかつて「Suica」などの電子マネーのもととなる「フェリカ」と呼ばれる技術を開発しました。

最大の特徴の一つはセキュリティーの高さです。運用が始まってから20年、ハッキングによる大きなトラブルは一度も起きていません。

今回開発したシステムは、フェリカの開発で培った高度な暗号化技術をさらにアップデートしています。

日下部さんは「少なくとも今運用されているほかのものよりは(セキュリティーが)強いことは間違いない。私の中の自己満足度から言うと90%ぐらい」と話します。

電子マネーでお金のかたちを変えた日下部さんは、世界のデジタル通貨への採用を目指して開発を続けます。「(技術が)次から次へと進化するからこそ新しいものに対して商品価値も出てくるだろうし、(技術の革新は)永久に続くと思う」と話しました。

日本のデジタル通貨の技術は、このベンチャー企業とは別の会社のシステムがカンボジアで使われています。

銀行口座が普及していないネパールのように、アジアや中南米でデジタル通貨の導入を検討する動きが広がっている中、日本で生まれた技術がどうなっていくか注目されます。

(経済部 記者 岡谷宏基)

【2021年9月28日放送】

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