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ぶどうのおいしさ AIで“見える化”!

NHK
2021年10月22日 午後0:57 公開

日本一のぶどうの産地・山梨県では、後継者不足で生産量が年々減少しています。こうした中、農家が研究者とともに培ってきた栽培方法などをAI=人工知能で“見える化”して、おいしいぶどうの作り方を伝承しようという実証実験が始まっています。

収穫に適したぶどうの色 AIで数値化

山梨市のぶどう畑で生産されている「シャインマスカット」は、実の「色」が「味」に関係しているとされています。農家は色味によって「1」~「5」の数字がついた5段階のカラーチャートを使って、収穫の時期を判断しています。真ん中の「3」が収穫に適した標準的な色です。

しかし、色の見え方は人や場所によって異なり、収穫に適した色の判断は農家の経験によって大きく左右されます。

そこで、メガネ型のデジタル端末「スマートグラス」を活用。経験に頼ってきた収穫に適した色の判断をスマートグラスで「見える化」しようとしています。

具体的には、スマートグラスでぶどうの房を読み取り、AIがその画像を分析して色を数値化。ディスプレーに数字を表示します。

農家の判断を的確に再現するため、システムの開発チームは、まず農家におよそ500房のぶどうの色について「1」~「5」のカラーチャートに沿って数値で判断してもらいました。

そのうえで房に付いている一つ一つの粒を撮影し、AIに農家の判断と粒の画像を読み込ませ、どんな粒の組み合わせが農家の数値判断につながっているかを学習させました。

ただその過程では、課題も浮かび上がりました。太陽光の当たり具合などで色の識別が難しく、AIの判別にブレが出たのです。精度は60%程度にとどまりました。

そこで、ぶどうをつかむ農家の爪に、収穫に最適なぶどうの色を印刷したシールを貼ってもらい、AIがシールを基準に色の見え方を補正できるようにしました。その結果、より適正に色を判別できるようになりました。

システムの開発にあたる山梨大学大学院の西崎博光准教授は「色の見方というのは個人差がとても大きい。AIで定量的に統一の色の判定ができると、ぶどうの品質も高まる」と話します。

難易度高い「摘粒」も見える化

さらに開発チームは、ぶどうの粒を間引く「摘粒」という作業も、AIを使って“見える化”しました。この作業はぶどうの出来栄えに大きく影響する重要な作業ですが、間引くべき粒を見分けるのは難しく、長年の経験が不可欠です。

開発チームは20万枚ものぶどうの画像をAIで分析し、間引くべき粒を赤い色で示せるようにしました。

経験が浅い人でも、熟練の農家の80%ほどの精度で取り除くべき粒を判断できるといいます。

研修生の林優弥さんは「指導者いらずで『摘粒』を学ぶことができる。初めてやる人にはすごくいい」と話しています。

このプロジェクトは農林水産省の委託事業の一つになっています。プロジェクトの担当者は2025年ぐらいまでに農家にスマートグラスを安く提供して、産地を盛り上げていきたいと話しています。

(甲府局 記者 東大輔)

【2021年10月22日放送】

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