“エアバッグ”を着こなす!?

NHK
2022年1月28日 午後1:38 公開

自動車の運転席などについているエアバッグは、まさかの時に命を守れるよう丈夫なナイロン素材でできています。自動車は99%が金属資源などにリサイクルされていますが、エアバッグの素材はこれまでほとんどが焼却処分されていました。それをファッションとして活用しようという動きが始まっています。

エアバッグのジャケット ドイツで発表

テスト走行で使ったエアバッグから作られた淡いピンク色のジャケット。自動車との取り付け口などをあえてデザインとして残すことで、オリジナリティーを出しています。

このジャケットはドイツの自動車メーカーが新進気鋭のデザイナーと共同で発表。ファッション誌やネット上で「持続可能な世界をセクシーに表現した」などと大きな話題を呼びました。

鳥取でも服づくり始動 リサイクル会社と地元出身デザイナー

エアバッグ・ファッションへの関心は日本の自動車業界にも広まっています。鳥取県の自動車リサイクル会社「西川商会」は、これまで扱いに困っていたエアバッグを使った服づくりを始めました。

手を組んだのは、ニューヨークなどで活躍してきた地元出身のデザイナーの川西遼平さんです。川西さんは「ふだんクローゼットにあるものをエアバッグで作り直した時に、どういう世界観が広がるかということを作品としてやっている」と話します。    

製作には想像以上の苦労もありました。厚く丈夫にできているため加工が難しいのです。

また、一度切り分けた素材をどう組み合わせれば魅力的なデザインになるか、試行錯誤を重ねました。

出来上がった作品は、ジャケットや帽子、バッグなど9点。継ぎ合わせた縫い目がアクセントになっています。表面にはエアバッグの識別番号が残され、1つ1つのパターンが異なる1点ものとなりました。

さらに、エアバッグの素材ならではの耐熱性と耐久性も特徴です。

自動車リサイクル×ファッションで新ビジネス

2021年12月に鳥取で開かれた発表会では、幅広い世代から好評でした。10代の女性は「着てみたら軽くて着やすかった」といい、30代の男性は「エアバッグには正直見えなかった」と驚いていました。

発表会にはアパレル店のオーナーなども訪れ、30点を超える受注生産が決まりました。

この取り組みを行っている自動車リサイクル会社は、ファッションとのコラボレーションで新たな時代の需要をつかみたいと考えています。

西川朋宏専務は「車の中から素材を見つけて全く別のジャンルで発信するということは、どんな業界でも起こりうる。新しいビジネスが生まれるんじゃないか」と話しています。

2022年2月には東京・原宿で、自動車業界やアパレル向けの展示会が予定されているということです。環境問題への関心が高まる中、エアバッグのファッションがどう広がっていくか、注目です。

(国際放送局 記者 本田美奈)

【2022年1月28日放送】

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