中国発 中央銀行“デジタル通貨”

NHK
2022年3月4日 午後0:26 公開

中国では世界に先駆けて、通貨・人民元のデジタル化に向けた実証実験が本格化しています。背景にはどんなねらいがあるのでしょうか?

通貨・人民元のデジタル化 当局のねらいは?

3月4日開幕の北京パラリンピックや2月に開催された北京オリンピックでも買い物の決済手段になったのが、中国の通貨「人民元」をデジタル化したカードです。

一般の電子マネーとはどう違うのでしょうか?

デジタル人民元は通常、市民がアプリをダウンロードして専用の口座を開設買い物はQRコードで支払います。交通機関などさまざまなところで導入されていて、一見すると一般の電子マネーと使い方は変わりません。

大きな違いは、一般の電子マネーは民間企業を介して決済するのに対し、デジタル人民元は紙幣や硬貨と同様に、使うとすぐに店への支払いが完了します。

また中央銀行がつくった仕組みを使うことで、当局がお金の流れを把握しやすくなります。

中国では一般の電子マネーが広く普及し、特に都市部では現金を持ち歩かないのが当たり前というほど浸透しています。

デジタル通貨の導入に力を入れる背景には、このままでは当局の管理の及ばないところで決済の動きが広がるという危機感があります。

さらに中国は、世界で関心が高まる通貨のデジタル化で先行したい思惑もあると見られます。

中国人民大学の程華准教授は「将来の国際ルールの制定で中国はより重要な役割を果たすはずだ」との見方を示しました。

利便性かプライバシー保護か アメリカで賛否

デジタル通貨についての議論は各国で進んでいます。アメリカでもデジタル通貨に関する研究が行われてきましたが、その利便性とプライバシー保護を巡り意見が対立しています。

賛成派の民主党議員の1人は「デジタル通貨を使えばどんな人にも経済の恩恵が行き渡る」と主張。

一方、反対派の共和党議員の1人は「政府機関がプライバシーを侵害して個人を追跡し、銀行取り引きを監視できるのは望ましくない」と主張しています。

賛否が分かれる中、中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、本格的な導入には慎重な姿勢を崩していません。

スタンフォード大学のダレル・ダフィー教授は「アメリカ人はプライバシーに非常に慎重で、デジタル通貨の運用面の準備ができていない」と話しています。

米主導の国際決済システム回避の思惑も?

中国が通貨のデジタル化を進める背景には、通貨のデジタル化によって国外でも人民元を使いやすくすることで、将来的にアメリカ主導の国際決済システムを使わなくてもよい取り引きを増やしていきたいという思惑もあるとされています。

(中国総局 記者 伊賀亮人、ワシントン支局 記者 吉武洋輔)

【2022年3月4日放送】

この記事は動画でもご覧いただけます(ココをクリック)

あわせて読む

デジタル通貨導入へネパールが注目する、日本発の技術とは?

オンラインでの銀行取り引きや株式売買 「デジタル遺産」をどう守る?

中国 過熱するメタバース

中国ゼロコロナ政策 カギは「時空伴随者」

中国EV市場 日系メーカーに逆風