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余剰在庫や規格外の布が生まれ変わる?

NHK
2021年5月27日 午後0:27 公開

衣料品の売り上げが伸び悩み、生産現場が苦境に立たされる中、岡山県のアパレルメーカーや染色加工会社が、これまでにない発想で新ビジネスを立ち上げています。

在庫ジーンズや切れ端をペット用品に

デニム生地で作られたペット用のおもちゃ。マットのすき間に餌などを隠すと、ペットがそれを探しながら遊ぶことができます。“宝探し”のようなおもちゃの素材には、ジーンズのポケットやベルトを通すパーツなどが使われていて、簡単には破れません。

開発したのは、国産ジーンズ発祥の地として知られる岡山県倉敷市児島のアパレルメーカー「ニイヨンイチ」です。新型コロナウイルスの影響などで売り上げが例年の7割ほどに減少しました。

このメーカーは、コロナ禍の中でも需要が伸びているペット市場に注目。ジーンズの在庫品や余りの切れ端を使った新たなビジネスを立ち上げ、犬の服やリードなどを次々に商品化しました。

生地は職人が1枚ずつ手作業で切り出し、熟練の技で丁寧に縫い上げていきます。商品の価格は高いもので1着2万円ほどしますが、ネット販売でも問い合わせが相次いでいます。

このメーカーの高橋雅彦さんは「なるべく無駄をなくし、環境にいい形」のビジネスを模索。「手探り状態だがこれから楽しみに、もっと製品を増やしていきたい」と話しています。

規格外の布から新素材 模様を生かしインテリア用品に

一方、岡山市内のホテルの廊下で目をひくのは、布製のインテリアのパネル。石や木材のように見えますが、これまで廃棄されてきた布を加工して作られています。

開発したのは、創業140年の岡山市の染色加工会社「セイショク」。この会社は制服や作業服に使われる生地を染色していますが、染める工程でむらや傷がつくと、規格外となり、売ることができません。こうした規格外品は、廃棄のための費用や人件費などに年間1億円近くかかっていました。

そこで考えたのが、新たな素材の開発です。色が似た布どうしを重ね、熱と圧力を加えて硬いブロックを製造。布を重ねる時にはわずかな凹凸が自然にできるため、プレスしたブロックの表面を薄く削ると、地層や木目、波のような模様が浮かび上がります。

この新素材はおよそ19センチ四方の大きさで1万4000円余り。布から生まれたさまざまな模様が、アンティークの戸棚や敷板などのインテリア製品に使われ始めています。

事業統括部長の西崎誠一郎さんは「まずはこの素材を知ってもらうこと。繊維産業で発生する規格外品が、価値のあるものとして広まっていけば非常におもしろいと思う」と話しました。

いずれの製品も結構“いい値段”ですが、逆に言えば、新たな発想でものをつくることで稼ぐチャンスが生まれています。

(岡山局 記者 遠藤友香・カメラマン  松原晶)

【2021年5月27日放送】