東南アジアにも拡大 インフレ圧力

NHK
2022年2月25日 午前11:34 公開

日本を含め世界各国で物価が上がる中、東南アジアでも暮らしに欠かせないさまざまなものが値上がりしています。電気料金から食卓まで・・・その影響とは?

電気料金が高騰するシンガポール エアコン節約する人も

美しい夜景で知られるシンガポール。世界的なエネルギー価格の高騰で、夜景を支える電気の料金も上昇しています。

2022年1月の消費者物価指数は前年同月比で4.0%上回り、約9年ぶりの高い水準になりました。

値上がりは市民生活を直撃しています。ある男性は新規参入した割安な電力小売り会社と契約していましたが、その会社は2021年11月に事業を停止してしまいました。電力の仕入れ価格が上昇し採算がとれなくなったのです。

男性は政府系の大手電力会社への切り替えを余儀なくされました。その結果、電気料金が1か月当たり日本円で7000円前後から約1万3000円へと、2倍近くに跳ね上がりました。

男性は、常夏のシンガポールでも夜はエアコンを切るなどして節約。蒸し暑い中がまんを続けざるをえないといいます。

料金が予算をオーバーするなら毎日の電気の使用量を減らすしかない」と話しています。

豚肉が3割値上がりしたタイ 代わって人気の肉は…

タイでも22年1月の消費者物価指数が前年の同じ月に比べ3.2%上昇しました。食品を中心に値上がりし、暮らしに影響が広がっています。

中でも庶民の財布を直撃しているのが豚肉の値上がりです。えさの価格上昇に加えて国内で豚の伝染病が確認されたためで、1月半ばまでの1か月間で価格が約3割も上昇しました。

買い物客の1人は「豚肉を買う量を半分に減らし節約している」といいます。

豚肉料理専門のレストランでは1月、看板料理の「豚肉ごはん」を日本円で約245円から約330円に3割値上げしました。客離れを防ごうと、割安な鶏肉のメニューもつくり始めました。

店長は「以前は売り上げもよかったが、今は客が減って静まり返っている」と話します。

さらに豚肉の代わりに需要が高まっているのが、ワニの肉です。別の店ではワニを養殖して1キロ700円ほどで販売し、レストランも手がけています。

ワニの肉はふだんは豚肉より割高ですが、豚肉が一時1キロ約770円にまで値上がりしたことで価格が逆転しました。

ワニの肉は鶏肉に近い淡泊な食感だといいます。タイではこれまで日常的に食べる習慣はありませんでしたが、レストランでは利用が増えて1月の売り上げが60%ほど増えたといいます。

客の1人は「ワニ肉はおいしい。豚肉は値段が高いのでそれ以外の肉を食べようと思う」と話しました。

東南アジアはコロナ禍からの回復が遅れていたこともあり、これまではインフレは一部の品目に限られていました。しかし今後景気回復が進めば、インフレ圧力がさらに高まる可能性があり警戒感が広がっています。

(アジア総局 記者 影圭太)

【2022年2月25日放送】

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