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なぜ?広告塔にバーチャルヒューマン

NHK
2021年10月20日 午後0:56 公開

企業の広告塔と言えば、一般的にはタレントやマスコットキャラクターが起用されますが、最近「バーチャルヒューマン」と呼ばれる、人間そっくりに作られたコンピューターグラフィックスを利用する動きが広がっています。なぜなのでしょうか?

バーチャルモデルみずから接客 集客アップ狙う

東京などに4つの店舗を展開するアパレルブランド「Ameri VINTAGE」は10月、専属モデルとしてCGで作られたバーチャルヒューマンを起用しました。

バーチャルヒューマンは、AIを使うことで店頭に置かれたモニターで接客を行うこともできます。モニター内のバーチャルヒューマンに、おすすめのコーディネートを聞いてみると、「リネンのセットアップ。色味がとてもかわいいです」と答えてくれました。このブランドは“接客もしてくれるモデル”で集客効果を高めたいと考えています。

黒石奈央子CEOは「実際に店舗に行くと会えるし話ができることで、新しい顧客やファン層をつかめるのでは」と話しています。

宣伝担当のバーチャル社員 若者へSNS発信

大手飲料メーカーのサントリーも、バーチャルヒューマンを起用しています。「山鳥水生」と名乗り、宣伝を担当する20代後半の男性社員という設定で、若い世代へのアプローチを狙っています。

このバーチャルヒューマンはSNSを専門に情報を発信しています。例えば実在する居酒屋を訪ねたり、苦手な自炊にチャレンジする動画を投稿したりと、若者の共感を得る内容を意識しています。

動画の再生回数は100万回を超えたこともあるそうです。ユーザーと対話しながらより関心の高い話題を発信し、効果的なPRにつなげようとしています。

サントリーコミュニケーションズのデジタルマーケティング本部の香取万葉さんは「フォロワーとの距離の近さを生かして、彼のキャラクターを育てていく、大きくしていけるのがバーチャルヒューマンの強み」と話しています。

既成のイメージに左右されずメッセージ伝える

現実の人間では難しい広告表現をするためにバーチャルヒューマンを利用した例もあります。

2020年にカミソリなどを作る刃物メーカー「貝印」が制作した広告。体毛を処理するかどうかは、個人が自由に選んでいいのではないかというメッセージをあえて打ち出し、大きな話題になりました。

モデルに起用されたのは、東京都内のIT企業が開発したバーチャルヒューマンです。既成のイメージに左右されず純粋に訴えたいことを伝えられたといいます。

刃物メーカーの齊藤淳一宣伝次長は「(現実の人間だと)キャラクターとか思想が影響してメッセージを正しく届けられない懸念があった。表現の選択肢の一つとして、今後もバーチャルヒューマンは続けていきたい」と話しています。

技術が進めば、人間とバーチャルヒューマンの区別がますますつかなくなっていきます。専門家によると、バーチャルヒューマンであるかどうか表示するルールなどは今のところありませんが、使い方によっては消費者に思わぬ誤解を与えてしまうおそれもあると言います。

企業もまだ手探りの状態ですが、この技術とうまくつきあっていってほしいと思います。

(経済番組 ディレクター 天城亮太郎)

【2021年10月20日放送】

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