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コーヒーに異変 産地はいま…

NHK
2021年9月9日 午後1:15 公開

コーヒー豆の世界的な産地として不動の1位を誇るブラジル。しかし記録的な寒波による被害を受け、不作に陥っています。こうした中で生産者を支援するための新たな取り組みも始まっています。

世界一の産地に記録的寒波 大きな被害が

ブラジル・サンパウロにある人気のコーヒーショップ。新型コロナウイルスの感染拡大で半年間の閉店を余儀なくされ、ようやく再開にこぎつけました。

店主のトン・ホドリゲスさんは「お客さんの数はまだ以前の3割ぐらい。ワクチンの接種で少しでも客が戻ってくることを願っている」と話します。

ところがいま、コーヒー豆の産地では大きな問題が起きています。サンパウロの近郊にあるコーヒー農園を訪ねると、多くの木が茶色く枯れてしまっています。

その理由は霜の被害です。日本と季節が逆のブラジルでは、8月にかけて30年ぶりと言われる記録的な寒波に見舞われたのです。

コーヒーの木は寒さに弱く、一度霜が降りるだけで枯れてしまいます。政府は最大で国内の2割ほどのコーヒーが被害を受けたと試算しています。

農園を経営するアントニオ・グラルトさんは「こんな状態はこの20年で1度も経験したことがない。すべての投資が台なしになった」と話しました。

生産者支援の「コーヒーコイン」 不作で高騰

生産者が苦境に立つ中、産地では支援につなげる「コーヒーコイン」という取り組みが出てきています。農業に必要な資金を幅広い投資家から集めようと、生産者の組合の一つが今年7月に始めたものです。

コーヒーコインは1コインあたりコーヒー豆1キロと交換でき、誰でも売買ができます。コインの価格は豆の市場価格の動きに応じて変動する仕組みです。コーヒーが不作となったため、この1か月で価格は40%近く上昇しました。

今後も天候不順が予想される中、豆の値上がりを見込んでコインを買う投資家が増えているといいます。

組合はコインの販売で得た資金を収入の減った生産者に還元する考えです。

コーヒーコイン運営組合代表のルイス・アウビナーチさんは「(コインは)われわれに貴重な資金をもたらしてくれている。使いみちを増やして、コインの収入で農家が農機具を買えるようにしたい」と話しました。

値上がりは「不可避」

では気になる価格への影響はどうなのか。コーヒーを扱う丸紅の現地関連会社の松井俊樹副社長は「コーヒーの需要は徐々に増えてきている。今回ブラジルというナンバーワンの生産国がこういうこと(不作)になってしまったので、値段が高くなっていくのは避けられない」と指摘しています。

コーヒーの木は根元から枯れてしまうと、再び収穫できるまでにおよそ5年かかると言われています。影響は長期化するかもしれません。

(サンパウロ支局長 木村隆介)

【2021年9月9日放送】

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