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過熱!データサイエンティスト争奪戦

NHK
2021年9月7日 午後3:14 公開

「データの科学者」を意味する「データサイエンティスト」。企業が持つ膨大な購買履歴などさまざまなビッグデータを、コンピューター技術や統計学などを駆使して高度なスキルで分析し、経営課題の解決や収益につなげる役割を担います。

“膨大なデータを宝の山に変える”とされ、アメリカでは企業が最も欲しがる人材だと言われていますが、日本でも“争奪戦”が激しくなっています。

「必要なのに足りない」データサイエンティスト

東京都内の大手ITコンサルティング会社「アクセンチュア」のデータサイエンティスト・張瀚天さん(25)は、大学院でAIを学び2020年に入社。現在は大学病院と連携して医療データを解析することで、副作用などを予測するAIを開発しています。

張さんは「最先端の技術を実際に社会実装したい」と話します。

この会社でデータサイエンティストを統括する保科学世さんは、企業の膨大なデータを分析できる人材を確保するのは難しくなっているといいます。

保科さんは「どの業界でも必要。本当に足りない。これが高止まった状態で続くと考えているので、どんどん採用していきたい」と話しています。

分析技術 持つ学生と企業をマッチング

この会社が張さんを獲得したのは、高度な技術を持つ大学院生と企業をマッチングさせるイベントを通じてでした。

取材した日、イベントには、大手電機メーカーや製薬会社など15社の幹部と、東京大学や大阪大学などの教授が集まっていました。

企業側はなんとか優秀な人材を獲得しようと、限られた時間で教授陣にPRします。一方、教授たちは研究室の学生が持つデータ分析の技術を生かせる企業を見極めます。

イベントを主催した望月晴文さんは「データの利活用をするためには新しい人材が必要になってきて、それが世界で取り合いになっている。ビジネスやサービスに生かせるように、(機会を)つくるのがわれわれのマッチング」と話します。

人材確保が無理ならアイデアを

一方、人材の確保ができない企業では、アイデアだけでも手に入れようとする動きもあります。

活用されているのが、アイデアを募集するサイトです。企業がデータサイエンティストに解決してほしい課題を掲載し、企業は寄せられたアイデアのうち最もすぐれたものを採用します。これまでに企業や官庁が50回以上さまざまなテーマで募集を行いました。    

例えばJR西日本は、冬場に新幹線を運行する前に、いつ・どこで除雪作業が必要になるか、気象データなどをもとに予測するプログラムを募りました。2か月の間に400人からアイデアが寄せられ、1位には賞金100万円を出しました。

このサイトを運営する企業「SIGNATE」の齊藤秀さんは「多くの企業が優秀な人材を共有することで、競争力のあるAIやデータ分析の解決に至るということが有効ではないか」と話しています。

日本では2030年にデータサイエンティストを含むAI人材が12万人不足すると言われています。企業にとっては優秀なデータサイエンティストをどれだけ確保できるかが、競争力に直結することになりそうです。

(経済部 記者 岡谷宏基)

【2021年9月7日放送】

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