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サプライチェーンに潜む“人権リスク”

NHK
2021年5月26日 午後0:37 公開

中国の新疆ウイグル自治区で生産される綿花を巡り、ウイグルの人たちの強制労働によって作られているのではないかという指摘に、ユニクロやスウェーデンのH&Mなど、グローバル企業が調査や対応を迫られています。“人権リスク”に企業が相次いで直面する事態。背景には何があるのでしょうか。

“寝耳に水” ミャンマーの工場が人権団体から糾弾

子ども服などを手がけるアパレル大手「ミキハウス」は4年前、弁護士などからなる人権団体に糾弾されました。ミャンマーにある取引先の縫製工場で、「強制的な長時間労働」や「劣悪な労働環境」での違法行為が継続的に行われている、という内容でした。

会社にとって寝耳に水の事態。大手メディアにも取り上げられ、50年近くかけて築き上げたブランドイメージが大きく傷つく瀬戸際に立たされました。品質管理部の上田泰三部長は「初めての経験だったので当初はどうしていいか分からなかった。不買運動につながるかという危機感はあった」と話します。

問題が起きた背景には、サプライチェーンが複雑化する中で、取り引きの実態把握が難しくなっている現状があります。

ミキハウスのケースでは、子会社が日本の専門商社に発注し、この商社がミャンマーの工場と契約していました。そのため本社では、問題の工場と取り引きしていることも分かっていなかったといいます。

サプライチェーンのリスク 企業は現状把握を

批判を受け、会社はすぐさま現地調査を実施。給与明細やタイムカードを細かく確認して、労働時間などを改善させました。

さらに、「ワーカーズボイス」と呼ばれるアプリを使って従業員の本音をすくい上げる仕組みも導入しました。アプリは、中国語やベトナム語など8つの言語に対応していて、不当な扱いを受けた場合、第三者の人権団体に直接相談ができる仕組みになっています。すでに日本を含む6つの国と地域で導入されています。

品質管理部の上田部長は「対策をやっている時は無我夢中でやったが、あとになって思えば、どちら(の企業)でも起こりうる話。『うちは知りません』というのは、今はなかなか通用しない世の中なんだろうと思う」と話しました。

EUでは2021年3月、企業に人権対策を義務づける法律も成立しています。専門家は▼日本は欧米に比べ対応が大きく遅れリスクが高い状態▼外部の専門家とも連携しながら早急なサプライチェーンの現状の把握とリスクの洗い出しが必要、と指摘しています。

(経済部 記者 早川俊太郎)

【2021年5月26日放送】