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和牛生産に革新! AIで肉質アップ
NHK
2021年4月27日 午後1:20 公開

国内だけでなく、世界でも高値で取り引きされている和牛。その生産の現場を“変革”するかもしれない、新たなシステムが開発されました。AI=人工知能を活用することで、肉質を推定しながら牛を育てることができるといいます。和牛の肉質向上や農家の収益拡大につながると注目されています。

AIの力で肥育段階でも肉質がわかる

帯広畜産大学教授の口田圭吾さん。30年にわたって霜降り肉の画像解析を行ってきた肉質研究の第一人者です。口田さんが撮影した画像は、肉質を格付けする協会の基準にも使われています。

口田さんが開発したのが、「肥育中に誰でも肉質を推定できる」システム。牛の体に超音波を当てて撮影した肉の画像を読み込ませると、AIが「脂肪交雑の値(霜降りの量)」のレベルを判定するというものです。

さらに、画像から測定した筋肉や脂肪の厚さを入力すると、口田さんがこれまで撮影してきたおよそ6000種類の霜降り肉の画像の中から、入力した情報に最も類似する画像が表示されます。

育てている牛がどんな肉質なのかを正確に推定することができるのは、これまで熟練の技術者などだけでした。システムの導入で、牛によって餌の改善を図ったり、出荷時期を正確に見極めたりすることが可能になり、肉牛農家の収益の増加が期待できるといいます。

口田さんは「早期に肉質レベルを推定することで、ここぞという時に出荷できる。大きな畜産、肉牛生産の変革につながる可能性がある」と話しています。

「福島牛」風評被害からの回復目指す

開発の背景には、福島の復興を後押ししようというねらいがありました。実は口田さんは福島県の出身。原発事故の風評被害で「福島牛」の価格の低迷が続くなか、このシステムを活用することで、ブランドの回復につなげたいと考えています。

現在、福島県の担当者とプロジェクトを組み、6月から、およそ1000頭の和牛の肥育にこのシステムを活用する予定です。県畜産課の石川雄治さんによると、福島牛は「枝肉の価格が他県よりも1割から2割程度安い」ということで、「AIの肥育技術を使ってよりよいものをつくる。福島牛を見直してもらうきっかけになれば」と話しています。

今後について、口田さんは「こういう技術で肉質レベルを向上させて、日本の肉用牛のさらなる振興のためにどんどん活用していってもらいたい」と意気込みを語りました。

福島県のプロジェクトでは、このシステムを使って肥育する牛の数を年々増やしていく計画です。肉質研究の第一人者とAIの力で、まず福島牛から取り組み、いずれは日本の和牛全体のブランド向上にもつながっていくことを期待したいと思います。

(帯広放送局 記者 原祢秀平)

【2021年4月27日放送】

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