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ウエアラブルデバイスで見守る 従業員の健康

NHK
2021年7月20日 午後1:02 公開

暑い日が続き、屋外で働く人は熱中症が心配です。そこで、従業員に腕時計型の端末を着けてもらい、健康状態を見守ろうという取り組みが進んでいます。

腕時計型端末が体温など計測 数値に基づき休憩指示

静岡県にある従業員15人の建設会社「栄久建設」は、熱中症対策に頭を悩ませてきました。現場に出る従業員は長袖の作業着を着る必要があり、今は感染対策のマスクも着用しています。

過去に熱中症を経験したという従業員の長田廣行さんは「だんだん(視界の)周りにモヤがかかってきて、真っ白になって、気が付いたらベッドの上だった」と振り返り、「自分だけ体調悪いから休ませてとは言いにくい」と話します。

そこでこの会社は6月から、ウエアラブルデバイスを使った見守りサービスを導入しました。

このサービスでは、従業員が身に着けた腕時計型の端末が、4秒に1回、脈拍や体温などを計測します。計測したデータはサーバーに送信。独自のAIが体調に異変がないかを分析し、会社の管理者と即時に共有します。

管理者が見る画面上では、体温の急激な上昇など、熱中症のおそれがある従業員を赤く表示して警告。さらに、その従業員のいる場所がGPSで分かるため、近くの病院を調べたり、直接救助に向かったりできます。

この建設会社の滝田欣也社長は「こういう業種柄、熱中症とはどうしてもつきあっていかないといけない。数値に異常があればすぐ連絡をして『休憩しろ』と言ったりできる」と話します。

サービスの利用料は、端末1台につき月額およそ2000円。建設業や製造業など500社あまりが利用しています。サービスを運営する損害保険ジャパンの佐藤寛己課長代理は「デジタル的に判定されたものをベースに休憩指示を出したり、感覚に頼らない労務管理ができるようになる。熱中症の予防にはより効果的」と話しています。

“ストレス”もウエアラブルデバイスで

熱中症以外にも、屋内で働く人の見守りに端末を活用するケースが広がっています。クレーム処理を行うコールセンターなどで導入されているのが、従業員のストレスの度合いをAIが判定してくれるサービスです。

脈拍の急な上昇など、ストレスによる体調の変化をAIが検知。リスクの高い従業員を赤で表示し、管理者に注意を促します。

このサービスは、コールセンター以外にもシステムエンジニアを抱えるIT企業や、たくさんの生徒や保護者と接する学校や塾など、およそ30の組織で利用されています。

サービスを提供するNTTPCコミュニケーションズの古田健部長は「人が働きやすい環境、生き生きと働ける環境、これを組織としてしっかり見守っていく。そういったコミュニケートを、これ(端末)を使うことで取ることができる」と話しています。

“ストレスがたまっているが、会社には言い出せない”という従業員も少なからずいます。リモートワークなど顔を合わせないで働く機会も増えているので、離れていても変化に気付かせてくれるサービスのニーズが高まっているのかもしれません。

(経済番組 ディレクター 松村亮)

【2021年7月20日放送】