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熱帯雨林 再生を支える新ビジネスとは

NHK
2021年11月18日 午後2:30 公開

世界最大の熱帯雨林アマゾンは、多くの酸素を生み出し地球環境に重要な役割を果たしていますが、切り開かれた農地が荒廃するなどして毎年緑が失われています。

そうした中ブラジルのある町では、森林の再生につながる農法と、それを支える新ビジネスに期待が高まっています。

“異なる作物が支え合う農法”で緑を守る

アマゾンの熱帯雨林、ブラジル北部の町トメアスにある農園では、単一栽培を行わず、約80種類の作物が同じ農地に植えられています。

作物はバナナやマンゴスチンといった果物から、香辛料のコショウまでさまざま。異なる作物を一緒に育てる農法「アグロフォレストリー」と呼ばれ、単一栽培にはないメリットがあります。

例えば、チョコレートの原料となるカカオとブルーベリーのような実をつけるアサイーを組み合わせて栽培。すると背の高いアサイーが、直射日光に弱いカカオに日陰をつくることができます。

この地域の農業組合の理事長を務める日系2世の乙幡敬一(おっぱた・けいいち)さんは、作物がお互いに支え合う関係をつくることがポイントだといいます。

カカオとアサイーの関係で言えば、「カカオはせん定する時に葉っぱとかを残していく。このおかげで湿気があってアサイーには必要。土壌も良くする」と説明しました。

育てる作物が一つの場合、病害が発生すると農地が荒廃してしまいます。異なる作物を一緒に育てる農法では、作物が全滅するリスクが減り緑を維持できると見込まれているのです。

農法を支える「炭素クレジット」

しかしこの農法では作物の種類が増える分、人件費などがかさむという課題があります。

世界で脱炭素の流れが一段と強まる中、乙幡さんの組合は新たな仕組みの活用に乗り出しました。それが「炭素クレジット」の発行です。

農地で緑を増やしたことで削減した二酸化炭素の量を「クレジット」として発行。排出量を減らしたい企業に購入してもらうのです。

試験的に発行したところ、アメリカの大手IT企業に約50万円で販売できました。近い将来、試験を行った面積の数十倍分の炭素クレジット発行を目指しています。

乙幡さんは「カーボン(炭素)クレジットを日本や外国の会社に売って、もっと増やしていく。25年30年収入がとれるという形がベストじゃないか」と話しています。

アマゾンの森林消失面積は年々増加していて、2020年だけで岐阜県の広さに相当する1万平方キロメートルの森林が失われたということです。

森林は二酸化炭素を吸収して酸素を生み出す貴重な資源です。森林を生かす新たな農法がどこまで広がるか、注目されます。

(サンパウロ支局長 木村隆介)

【2021年11月18日放送】

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