ニュース速報

ワインの産地 コロナの“先”へ

NHK
2021年7月16日 午後0:17 公開

ワインの産地、アメリカのカリフォルニア州では、ワクチンの普及もあって新型コロナ対策の規制が解除され、各地のワイナリーにも人出が戻ってきました。新型コロナの“先”を見据えて、いま向き合っている大きな課題とは?

観光客戻ったナパバレーのワイナリー

カリフォルニア州にある最も有名なワインの産地、ナパバレー。コロナ禍で一時閉鎖を余儀なくされていたワイナリーも、経済活動の再開で人出が一気に戻り、高級なワインを楽しむ観光客でにぎわっています。

人気を集めているのは、日本円で1万円~8万円の食事のコース。ニューヨークから訪れた客は「(コロナ禍で)食事にも、休暇にも、お金を全然使ってこなかった。1年半ぶりのぜいたく」と話しました。

ワイナリーのジェームズ・サーダさんは「ことしは景気がよく、需要がとても高い。ワインが足りるか心配になるほどだ」と言います。

山火事が常態化 再建断念する生産者も

しかし世界的なワインの産地は、なお大きな課題に向き合っています。毎年のように起きる山火事です。

ジェリー・ユリア―ノさんは2020年に起きた山火事で、ぶどう畑や施設が壊滅的な打撃を受けました。焼け跡を歩きながら「ここにはテイスティングのカウンターがあった。今でもワインボトルの破片が残っている」と説明してくれたユリア―ノさん。一度は再建を目指しましたが、必要な設備をそろえるのに1億円を超える資金がかかることが分かり、断念せざるをえませんでした。

現在は手元に残ったわずかなワインを、家族が経営するレストランで販売していますが、「ことし中には売り切れてしまうかもしれない。自分のワインを、もう皆さんに楽しんでもらえなくなると思うと悲しい」と話します。

温暖化対策に「カーボンファーミング」広がる

山火事の背景の一つとして指摘されているのが、地球温暖化です。甚大な被害を受けているワインの産地として何かできることはないのか、模索が始まっています。

クリスティン・ベレアーさんのワイナリーが取り組んでいるのが、「カーボンファーミング」と呼ばれる、温室効果ガスを少しでも出さないようにする農法です。

畑をたい肥で覆い、地中に含まれる炭素を放出されにくくします。さらに、ぶどうの木の間にあえて別の植物を植えて、二酸化炭素の吸収や土壌の質の改善を図っています。こうした取り組みは、この2年ほどで地域の70のワイナリーに広がっているといいます。

ベレアーさんは、地道な取り組みを一つ一つ積み上げることで、ワイン産地の持続可能性を高めたいと考えています。「カーボンファーミングは気候変動の影響を軽減することができる。1人では解決できないが、みんな自分にできることがあるはずだ。小さな一歩も役に立つ。あきらめてはいけない」と話しました。

(ロサンゼルス支局 記者 山田奈々)

【2021年7月16日放送】

動画はこちら