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霞が関DX 若手官僚が挑む

NHK
2021年11月10日 午後2:55 公開

行政の分野でもDX=デジタル変革が求められる中、各国の電子化の進み具合を調べた国連の「電子政府ランキング」(2020年)で日本は14位。デジタル先進国とは言いにくい状況です。

デジタル庁が発足した今、「霞が関DX」はどうすれば進むのか。DXにいち早く取り組み始めている農林水産省では、若手官僚が旗振り役となっています。

全3000手続きのオンライン化に挑む 農林水産省専門チーム

農林水産省は今年4月、「電子申請サービス」の本格的な運用を始めました。これまで紙の書類で行ってきた手続きをオンラインで済ませられるようにするシステムです。

利用者の一人で茨城県で農業法人を営む横田修一さんは、補助金の申請に必要な経営の改善計画を自治体に提出するために利用しています。

横田さんは「毎年毎年、役所に申請しなければいけない。それが結構な書類の量になる。データでできるようになればかなり省力化できるのではないか」と見ています。

このシステムの開発に携わっているのは、農林水産省に3年前に発足した8人の専門チームです。率いるのは、デジタル戦略グループ課長補佐の畠山暖央さん(34)です。

省が関わる書類の手続きはおよそ3000あります。そのすべてをオンラインでできるように、畠山さんたちは開発を進めています。

行政実務とIT技術の理解で開発力アップ

チーム発足当初に課題となったのは、開発業者とのやり取りでした。多くのメンバーにとってITは専門外。独自の用語が理解できず、作業の遅れや行き違いが起こりがちでした。

そこで畠山さんたちは、出勤前の時間を使い独学で勉強を始めました。そして技術者でも合格が難しいという情報処理の国家資格を取得しました。

行政の実務とIT技術の両方を理解したことで、開発のスピードが上がったといいます。

畠山さんは「開発事業者さんのしゃべっていることが理解できない。そんな状態で物事を前に進めるのはすごく怖いなと思った。(資格取得で)コミュニケーションも非常にスムーズになった」と話します。

脱・業者依存 内製化へ

さらに畠山さんたちは、なるべく業者に依存せずコストをかけずに電子申請サービスの中身をつくる内製”の仕組みを導入しました。

この仕組みを使えば、プログラミングに詳しくない一般の職員でも、自分のパソコン上の簡単な操作でオンライン化したい手続きの電子申請サイトをつくれます。

省内では今、サイトづくりの研修会が開かれています。それぞれの手続きを担当する部署の職員にみずから手を動かしてもらうことで、デジタル化を一気に進めたいと考えています。

畠山さんは「『自分たちがこういうものをつくりたい』とか、本来は役所側から内発的に出てくるべきもの。より質の高い行政を提供できるようになればいい」と話しました。

農林水産省では現在、3000の手続きのうちおよそ950のオンライン化を終えていて、2022年度までにすべての手続きで作業を完了させたいということです。

(経済番組 ディレクター 三ッ橋雅行)

【2021年11月10日放送】

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