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「ゴミ」が飛行機の燃料に⁉ 脱炭素目指す新技術

NHK
2021年11月25日 午後1:05 公開

世界の温室効果ガス排出量の2%を占めるとされる航空業界。今のジェット燃料を、植物などから作られる代替燃料「SAF」に置き換えることで排出量を抑えようとしています。この新たな燃料の需要の増加に応えるため、アメリカでは「ゴミ」から代替燃料をつくる動きが出てきています。

家庭ゴミを航空燃料に変える技術とは?

アメリカ西部のネバダ州に2021年に建設された代替燃料の工場で、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない航空燃料の大量生産が近く始まります。特徴はゴミを原料に燃料をつくることです。

工場に運び込まれるのは近隣の家庭ゴミ。金属などを取り除き、紙くずや布、木材などを細かく切って圧縮します。

次に1400度の高熱で気化処理をしてガスに変えます。このガス化の際にCO2を分離することで、CO2の排出量が少ない燃料になるということです。さらに硫黄などの有害な物質を取り除き、液体の代替燃料にします。

運営するエネルギー会社では、年間1100万ガロン(約4100万リットル)の代替燃料の生産を計画し、今後さらに大きな工場の建設も計画しています。

会社のジム・ストーンサイファー副社長は「代替燃料の需要は急激に増えている。ゴミは誰も欲しがらないのでライバルはいない。つくればつくるほど生産コストを下げることができる」と話します。

大手航空会社も出資 業界から期待

こうした代替燃料には航空業界から高い期待が寄せられています。CO2の排出量を今のジェット燃料に比べ約80%削減できるとされているからです。

大手のユナイテッド航空では2020年に購入した代替燃料は燃料全体の1%未満でしたが、30年までにこれを10%に引き上げることを目指しています。

ゴミからつくる代替燃料を手がける会社に出資し、購入量を増やしていく方針です。

スコット・カービーCEOは「今の燃料のかなりの割合を代替燃料に置き換えるくらいまで供給を増やすには、産業を育て、さまざまな原料を見つける必要がある」と話しています。

普及へ顧客企業と仕組みづくり

代替燃料は価格が数倍割高という課題もあります。このため、この航空会社は顧客の企業に支援を呼びかけました。

顧客企業に出張や貨物の輸送に代替燃料の航空便を利用してもらい、航空会社は追加料金を受け取ります。一方、航空会社は温室効果ガスの排出量が減った分を排出量の削減枠として提供する仕組みです。

これには世界各国の大企業が賛同。代替燃料の不足を解決しようという動きが広がりを見せています。

ドイツの大手電機メーカーのシーメンスで環境対策責任者を務めるマット・ヘルゲソンさんは「私たちのような航空業界の利用も含めてより多くの投資をしていくことで、より早く代替燃料を普及させられる」と話しています。

脱炭素に向けた航空業界の取り組みがさらに加速していきそうです。

(アメリカ総局 記者 江崎大輔)

【2021年11月25日放送】

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