ニュース速報
食品ロスを救う「アップサイクル」
NHK
2021年4月23日 午後12:02 公開

アップサイクルとは「捨てられるはずだったものに付加価値をつけ、新たな製品に生まれ変わらせる」こと。例えば、着古した服の生地を生かして財布に作り替えるといったことです。それを「食べ物」で進めていく動きが広がっています。

工夫とアイデアで廃棄食材をアップサイクル

おやつの定期配送サービスを手がける企業「スナックミー」が販売しているのは、ナッツやドライフルーツがブレンドされたシリアルです。

原料は、変色したり欠けたりして単品では市場に出せない規格外の食材。こうした食材を企業や生産者から買い取っています。はちみつやごま油を入れて加工することで、やさしい甘さの菓子にアップサイクルしました。

食品ロスの削減につながることを打ち出せば、その商品を選んでくれる消費者がいる。そうすればビジネスとしても採算がとれると見て、アップサイクル食品の開発に力を入れています。

会社に取材に行くと、新商品の開発に向けた打ち合わせが行われていました。この日のテーマは「余ったおかきを使って新しい商品ができないか」。菓子製造の「精華堂霰総本舗」の清水敬太代表取締役によると、百貨店との取り引きが減り、おかきの在庫を大量に抱えているといいます。

スナックミ―では「このおかきを、だしやフリーズドライの食材と一緒に混ぜて、お湯をかけると簡単なお茶漬けになるような商品にしてはどうか」などとアイデアを出していました。

服部慎太郎CEOは「新しい加工とか価値を加えて今まで食べたことがないようなものを生み出しながら、今まで捨てられてしまったものを使っていけると、すごくいい取り組みになる」と話しています。

パンの耳がビール系飲料に!?

廃棄食材を飲み物にアップサイクルする企業もあります。シンガポールに拠点を置くスタートアップ企業の日本法人「CRUST JAPAN」は、長野県白馬村のビール醸造所と提携して、4月から“ビール系飲料”の販売を始めました。

原料にはパンの耳が使われています。パンの製造会社がサンドイッチを作る際に出たもので、これまでは捨てられていました。CRUST JAPANは、自社が考案した独自のレシピでビールの原料の一部を麦芽からパンに置き換えて、華やかな香りと軽い飲み口を表現しました。

会社では今、廃棄される果物を使ったジュースの開発を進めています。シンガポールの本社が研究している、果物の皮や芯から果汁などの成分を取り出す技術を使い、農家や食品加工会社が捨てていた果物を集めてジュースを作る計画です。2021年中に販売を始めたいと考えています。

代表取締役のジム・ファンさんは「われわれの理念は、日本の“もったいない”文化にとてもよく似ている。アップサイクルで持続可能な循環型の経済を実現したい」と話しました。

日本の食品ロスは年間612万トンとも言われています。こうした動きに共感する人が増えれば、ビジネスとして広がっていくかもしれません。

(経済番組 ディレクター 馬場卓也)

【2021年4月23日放送】

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