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伝統工芸דエシカル” 時代への挑戦!

NHK
2021年9月27日 午後1:12 公開

ファッション業界で、環境に負荷をかける大量生産・大量廃棄などが課題になる中、若者を中心に注目されているのが「エシカル(倫理的な)」ファッションです。環境に配慮して生地や染料に極力天然素材を使い、手作業で作られた服などがあります。

こうしたファッションで、日本の伝統工芸が世界から注目され始めています。

有松絞り×世界的デザイナー パリで新作発表

木綿を糸でくくり藍の染料で染める「有松絞り」は、素朴で味わい深い彩りが特徴です。

名古屋市で100年続く工房「久野染工場」を営む4代目社長の久野剛資さんは、手作業から生み出される有松絞りの風合いを武器に、世界的なエシカルファッションのデザイナー、クリストファー・ハンシーさんと手を組み始めました。

久野さんは「工芸の技術をいかに高めるか。(エシカルファッションの)デザイナーに引き出してもらう。それに一生懸命ついていく」と語ります。

ハンシ―さんはオーストラリア出身で、新作をパリで発表している新進気鋭のデザイナーです。その作品の一例を見ると、コットン100%の天然素材を使い、化学染料は使わず泥で染め上げています。

ハンシーさんは9月にパリで発表する新作には有松絞りを採用したいと考えました。

有松絞りは全ての工程が手作業のため、色合いはどれ一つ同じものがありません。ハンシーさんは、消費者が愛着を持ち長く使い込む有松絞りこそ“エシカル”だといいます。

エシカルと伝統の融合

ハンシーさんの今回のリクエストは、和紙の繊維だけで織ったグレーの服に、藍色のストライプをつけるという挑戦的なものでした。

色のついた和紙の生地に藍色をくっきりと浮き上がらせるには、高度な技術が必要となるからです。

この難題に挑んだのは、久野さんの工房に入社して3年目の新井達也さんです。理想のストライプ柄を生み出すために、生地の折り込み方や絞る強さなどを何度も変え、試行錯誤を繰り返しました。

2週間後、試作品をハンシーさんに披露すると「いい感じです」と上々の反応でした。エシカルと伝統の融合でパリでの展示会に臨むことになりました。

ハンシーさんは「有松絞りは特に歴史があり見た目も非常に美しいので、今回のコレクションで私たちは有松絞りで何ができるのか試してみたい」と話しました。

新井さんは「開発して新しい“絞り”を作らなければいけない。面白いし、やりがいがある」と話していました。

完成した作品は9月中旬からオンラインで始まったパリの展示会に出品しました。エシカルファッションは、材料を厳選し手間をかける分、値段も上がります。それを受け入れて1着を長く着るスタイルが広がっていけば、日本の伝統工芸にとってもいい影響があるのではないでしょうか。

(名古屋局 ディレクター 川上ゆきの)

【2021年9月27日放送】

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