デジタル遺産 どう守る?

NHK
2022年2月18日 午後1:11 公開

オンラインでの銀行取り引きや株式の売買など、インターネット上で管理されるさまざまな資産。もしも自分が死んで「デジタル遺産」となった時、引き継ぐことができるでしょうか?

アメリカではコロナ禍をきっかけに、もしもの時に備える動きが広がっています。

オンラインで遺言書を作成し管理

アメリカ・テキサス州に住むレナ・パケチョセアルドさん(36)。2020年に初めての子どもが誕生し、22年2月には第2子の出産を控えています。コロナ禍が続く中、自分に何かあったらと考えることが増え、新たなサービスを利用し始めました。

それが、オンラインで遺言書を作成し管理するサービスです。

利用者は、ネットバンキングをはじめとする資産の情報を入力。それぞれの資産を、誰にどのくらい相続させるのかも登録します。

もしもの時はあらかじめ決めておいた人に管理を託すことができる仕組みです。レナさんは、夫や妹夫婦に対応をお願いしました。「誰もが直面する死後の手続きのために準備するのは当然」と話します。

死後にSNSアカウントを閉じるサービスも

アメリカでは今、こうしたサービスが急速に広がっています。その対象は現金や株式といった金融資産にとどまりません。

例えば、フェイスブックやインタグラムなどのSNS上にあげた、交友関係などを示す個人の情報や写真。自分が死んだあと、そのままにしておくと、誰かに悪用されるおそれがあるということです。

そこで、利用者が亡くなったらSNSのアカウントを閉じることができるサービスが登場しています。

サービスを提供する会社「ランターン」のリズ・エディーCEOは「遺言書で十分だとされてきたが、それだけでは故人の重要な要素が抜け落ちてしまう」と話します。

こうしたサービスを利用する場合には、自分が死んだことを業者に伝えるため、家族にも業者と契約していると伝えておくことが前提となります。どんな資産をどう管理してきたか、家族とよく話し合っておくことが必要になります。

メタバース上の不動産が相続対象に?

さらに、「メタバースの世界でも遺産の管理の問題が出てくる可能性があると言われています。メタバースとはネット上の仮想空間のことで、アバターという自分の分身がネット上で互いに交流するなど、さまざまな活動ができます。

例えばコンサートに行ってその体験をビデオのように保存した場合、これも資産になるかもしれません。自分の死後も家族や知り合いがそのアカウントにアクセスすれば、同じ思い出を何度でも体験できるからです。

さらにメタバース上では、仮想空間上の不動産を購入することができるようになっていて、その不動産が相続の対象になる可能性も出てきているといいます。

デジタル遺産サービス会社の「トラスト&ウィル」のコディー・バルボCEOは「将来的には、人生とは生きている時間だけを指すのではなく、メタバースに永遠に残るデジタル遺産まで含むようになると思う」と話しています。

デジタル化が進むと新しい資産が次々と生まれます。資産が引き継がれないリスクをどうなくすか、考える人が増えています。

(ロサンゼルス支局 記者 山田奈々)

【2022年2月18日放送】

この記事は動画でもご覧いただけます(ココをクリック)

あわせて読む

中国 過熱するメタバース

霞が関DX 若手官僚が挑む

DXで飲食店の働き方が変わる?

“資産形成” 授業で学ぶ時代