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中小企業 コロナ禍をどう乗り切る
NHK
2021年6月10日 午前11:31 公開

コロナ禍で苦しむ中小企業。全国の商工会議所を束ねて中小企業の声を発信する日本商工会議所の三村明夫会頭に、現状や課題を聞きました。

近づく限界「攻めの感染対策を」

日本商工会議所 三村明夫会頭

中小企業の借金の金額は急増している。去年の50%ぐらい借入金が増えているのではないか。そろそろ限界に近づきつつある

飲食店・ホテル・交通を中心に3割程度の会社が『廃業しなければいけないだろうか』と考えだした。心が折れそうになってきている中小企業も相当ある

中小企業が受けている打撃は深刻です。コロナ禍で売り上げが大きく落ち込んだ企業に対しては、2020年に持続化給付金や家賃支援給付金などの支援策が導入されましたが、いずれも21年2月で打ち切られました。

一方、その後も緊急事態宣言が断続的に出され、収入が思うように上がらない状態が続いていて、資金不足が一段と深刻化しています。

そうした中小企業は、銀行からお金を借りようと思っても、すでに巨額の借金を抱えているうえ、新型コロナが収束する見通しや将来の収入が回復する見通しが立たないため、返済できるか不安が残ります。

また民間の金融機関の側は、貸したお金が返ってこないかもしれないとの懸念から、最近は貸し出し態度が厳しくなっているということです。

三村会頭はコロナ対策と経済の両立に向け、次のような提案をしています。

三村会頭

攻めの感染対策を講じてもらいたい。一生懸命感染対策をして、客との間隔もとり、換気もやり、徹底した感染対策をやっているところは、きちんと認定して営業時間の柔軟な対処とか、営業の自由度をもう少し与える方式を導入してもらえないだろうか

山梨県ではこうした取り組みが進んでいて、三村会頭はほかの県に対しても広げようと呼びかけています。

ワクチン職域接種 “大企業との連携を”

また三村会頭は、8日から申請受け付けが始まった職場でのワクチン接種にも言及しました。中小企業の場合、産業医のいない会社が多いのが実情です。そうした中、東京都の医師会など4つの団体は6月下旬にも、中小企業や商店街などの従業員も接種を受けられるよう、医師や歯科医師などを派遣する取り組みを始めたいとしています。

この取り組みは商工会議所などが窓口になるということで、三村会頭はこうした動きを全国に広げていきたいと話しています。そしてもう1つ期待しているのが、大企業との連携です。

三村会頭

大企業は、工場の近くにある病院とか、相当程度の能力を持っている。そういうところを使って、関係企業・取引先にまで範囲を広げて打っていただければありがたい

大企業の従業員は早期に接種ができるが、中小・零細はできない。こういう社会格差を発生させてはいけない

大企業が「まずは自社優先」ということになっても、余力があれば、中小企業のワクチン接種に回してもらえないだろうかと訴えました。

コロナ禍 最低賃金引き上げは

コロナ禍で三村会頭が頭を悩ませているのが、最低賃金=企業が労働者を守るために最低限支払わなければいけない賃金についてです。

日本の最低賃金は主要国に比べて低い水準にとどまっていて、2020年はコロナ禍の影響でほぼ前年並みに据え置きとなりました。21年は「骨太の方針」の原案に「引き上げが不可欠」という文言が盛り込まれました。働く人にとっては歓迎すべき動きですが、三村会頭は、コロナ禍が続く今は、最低賃金を引き上げるべきではないと強調しています。

三村会頭

最低賃金を引き上げるということは、そういう能力があればやるべきだと思う。ことしについては二極化している。最低賃金は、調子のいいところにも悪いところにも一律に課される制度。上げた場合、雇用者がどのように対応するか。ひとつは廃業、ひとつは解雇。引き上げることによって雇用がさらに減少するかもしれない。こういう時に最低賃金を上げる議論は、私はないと思う

三村会頭は、立場の弱いパートやアルバイト、とりわけ女性の非正規雇用の方への影響を懸念していました。今後も、いちばん困っている企業に寄り添う立場から発信していきたいと話していました。

【2021年6月10日放送】

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