ニュース速報

“スマート化”が養殖を変える

NHK
2021年7月5日 午後0:30 公開

ITやAIなど最先端の技術を駆使する「スマート化」。工場や家電、農業など、さまざまな分野に広がる中、魚の養殖もスマート化で変わろうとしています。

AIが魚の“食欲”を判定 餌やりを効率化

高知県宿毛市にあるシマアジの養殖場です。この養殖場で導入されている餌やり機は、東京のスタートアップ企業「ウミトロン」が開発。カメラと通信機能がついていて、生けすの映像をスマホなどに送ることができます。

さらに、泳ぎ方などから、AIが魚の“食欲”を判定。良く食べている時は「緑色」、十分食べたと判定すると「赤色」が画面に表示されます。この色を見て、餌を食べていない魚が多いと分かったら、遠隔操作で餌やりを止めることもできます。余分な餌やりを控えることで餌の総量を平均2割削減し、コストを抑えられるといいます。

開発したスタートアップ企業の斎藤悠貴取締役は「養殖の経営効率を高め、労働の省力化につながる技術ととらえており、より安定した収入につながると考えている」としています。

養殖の「完全自動化」へ 携帯電話会社と提携しシステム開発

先端技術を使って、養殖の「完全自動化」を目指す取り組みも始まっています。和歌山県串本町にあるサバの養殖場では、大手携帯電話会社と業務提携して、養殖を管理するシステムを開発しています。

このシステムは、生けすの中に高性能の魚群探知機を設置し、サバを1匹ずつ認識。収集したデータをもとにサバの平均体長を割り出します。

このデータに応じて餌の与え方を変えることで、いつまでに、どれぐらいの大きさに育てるかを調整すれば、出荷時期のコントロールができるといいます。

さらに、魚の生育に影響を与える海水温の上昇や酸素量の低下などの変化が起きた際は、自動で警告する仕組みも研究しています。

システム開発に取り組む「フィッシュ・バイオテック」では今後、こうしたデータを餌やり機と連動させることで、人の手をかけず、自動で養殖する技術を確立しようとしています。田中俊子専務は「勘ではなくデータに基づいて養殖ができるということで、新規参入もしやすくなってくるし、可能性の幅が広がっている。サバの養殖産業をどんどん太らせていきたい」と話しています。

養殖のコストのおよそ6割は餌代といわれ、餌やりを効率化することは収益に直結します。水産物の漁獲量が減少しているなかで、今後、このような養殖漁業がより重要になってきます。私たちの日々の食卓にも関係することなので、養殖がどう進化するのか、目が離せません。

【2021年7月5日放送】

動画はこちら