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インド 電力安定化に向けた新たな一手とは?

NHK
2021年12月2日 午後0:11 公開

インドでは電力の供給が不安定な一方、脱炭素を目指すためには石炭火力を際限なく増やすわけにもいきません。そうした中で、「分散型」の太陽光発電の活用が進められています。

「分散型電源」でエネルギーを地産地消

インドでは電力の供給拡大が課題となっていて、北部ウッタル・プラデシュ州の農村部では電力供給が不安定な地域が残っています

ある家庭を訪ねると、停電が起きた時に備えてろうそくを用意していました。

またテレビなどの電化製品には電圧が定まらないことが原因とみられるトラブルも起きていて、壁に取り付けられていたテレビは「完全に壊れてしまった」といいます。

そこで期待されているのが太陽光パネルです。発電した電力を近隣の約200世帯に限って供給しています。

小規模で“エネルギーの地産地消”とも言えるこの方式は、従来の大規模な発電設備に対して「分散型電源」と呼ばれ注目されています。利用者に届くまでの距離が短く効率よく送電できる利点があるといいます。  

ベンチャーが電力供給先を拡大 日本の商社も出資

このビジネスに乗り出しているのがインドのベンチャー企業です。日本の三井物産も出資し、2万世帯に電力を供給しています。

太陽光発電による電力は、家庭だけでなく飲食店でも使われ始めています。屋台の一つを訪ねると、電力が送られるようになったことで夜の営業時間が延び、利用客が3倍になったといいます。

屋台のオーナーは「収入が増えたのでもうすぐ結婚するし、家や農地も買おうと思っている」と話しました。

2年後には供給先が6万世帯に増える見込みです。

風力も併用 「信頼できる電力供給を」

電力を供給しているベンチャー企業は、携帯電話の基地局向けにも供給し、大口の顧客を確保することで収益を増やしていこうとしています。

また太陽光発電は天候によって発電量が左右される課題がありますが、この会社は風力発電と組み合わせることで発電を安定させようとしています。

ロヒット・チャンドラCEOは「企業は信頼できる電力供給を求めている。企業のビジネス拡大に向けて必要な時に電力を使えるようにしていく」と話しました。

こうした太陽光発電による事業はインド全体からみればまだ少ないということですが、農村部への安定的な電力供給のために、一部の州で特別な制度をつくり、民間の企業が発電や送電に参入できるようにしているということです。

(アジア総局 記者 影圭太)

【2021年12月2日放送】

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