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“非旅行業”へ 日本旅行の挑戦

NHK
2021年5月11日 午後3:15 公開

創業116年と日本で最も歴史のある旅行会社の日本旅行は、社員およそ2000人、全国に194店舗を有しています。新型コロナウイルスの影響で旅行業界が厳しい状況に置かれる中、旅行の手配だけにとどまらない新たなビジネスをつくり出そうとしています。

取引先の「課題解決」をビジネスに

3月に就任したばかりの小谷野悦光社長。3度目の緊急事態宣言が決まった4月、全国の支店長を集めて開いたオンライン会議で「何もしなければ、とんでもない、去年以上の大きな欠損が出る可能性も承知してほしい」と、厳しい状況を語りました。

小谷野社長は今、収益モデルを大きく転換しようとしています。これまで旅行業を通して取り引きのあった企業や自治体、学校が抱えている「課題」を調査し、その解決策を提案するビジネスを始めたのです。

解決すべき課題として想定しているのは、例えば「自治体のワクチン接種業務に人手が足りない」といったものや「学校の授業で学んだことを実践する場がほしい」といったもの。小谷野社長は、「新しい“非旅行業領域”をしっかりやらないと、生き残りが図れない」と強調します。

強みは旅行業のネットワーク

目指すのは「課題解決型企業」です。これまで社員旅行などを企画してきた法人営業の部署で取引先の企業を調べたところ、多くの企業で「福利厚生の見直し」が課題となっている可能性が出てきました。社員旅行が中止になっていて、その分を福利厚生に充てたいという顧客がいるのです。

日本旅行は、スタートアップ企業「Gigi」と業務提携し、福利厚生の課題を解決しようとしています。このスタートアップ企業は、地域の飲食店を“社員食堂”のように利用できるサービスを手がけています。このサービスは、社員が専用のウェブサイトから飲食店を選ぶと、企業が飲食店で使える電子チケットを配布するというもの。企業の福利厚生などでの利用を想定しています。

日本旅行では、企業にこのサービスを売り込む業務などを代行。新規契約を獲得すると、収益につながる仕組みです。

営業活動を取材すると、日本旅行の担当者が、サービスに登録している飲食店に現状を聞き取っていました。飲食店側は、近隣の企業がどれだけリピートしてサービスを利用してくれるかがポイントだと説明。担当者は「飲食店と企業をつないで食を通じたコミュニケーションを提案していければ」と話し、旅行事業で培ったネットワークを生かして利用企業を探すことになりました。

日本旅行では、社員およそ700人がこの事業を担当し、いち早く軌道に乗せたいとしてしています。小谷野社長は、「第2の創業というつもりで、創業者の気持ちも忘れずに、的確なスピード感を持った対応を図っていければ」と話しました。

この旅行会社では、ほかにも例えば、修学旅行でつきあいのある学校と、SDGsに取り組んでいる取引先の企業をつないで、教育イベントを開くことなども考えているそうです。

(経済部 記者 早川沙希)

【2021年5月11日放送】