町の書店を“交流の場”に

NHK
2022年1月25日 午後0:31 公開

ネット通販や電子書籍におされて厳しい経営環境が続く町の書店。全国の書店の数は1999年に2万2296店ありましたが、2020年には1万1024店と、20年余りで半分にまで減っています

こうした中で、書籍販売などを手がける「TSUTAYA」を運営する会社は、現在1000余りの店舗を2030年までに1500店へと大幅に増やす計画を打ち出しました。どんな戦略があるのでしょうか?

野菜や花、菓子も売っています

人口2万の宮崎県高鍋町。町で唯一の書店では、地元の農業高校の生徒が育てた野菜や花、さらには地元で人気の和菓子まで売られています

こうした商品を目当てに買い物に来た客が、その足で本を手に取る姿も目立ちました。客の一人は「農業高校さんの何か(助け)になれたらいい。昔から買っていたので」と話しました。

本棚の目立つ位置に並ぶのは認知症関連の本です。高齢化が進む地域で関心が高い本を集めています。

この書店を運営する会社「CCC 蔦屋書店カンパニー」は、これまでの書店の枠を超えた新たな店づくりを進めています。

梅谷知宏社長は「書店と言いながら“人が集う場所”になりたい。そうならないと生き残れないのではないか」と話します。

交流イベントで集客 コロナ禍でも黒字を維持

高鍋町の書店では、地域の人どうしが交流できるイベントを積極的に開催しています。取材した日は、町内のNPOによる手作りのお菓子の販売会が開催されました。

3年前から始めた交流の場をつくる取り組みによって、20年度の売り上げは前の年度より25%増加。その後のコロナ禍でも黒字を維持しています。

梅谷社長は「本を買いに行くだけではなくて、町の本屋さんに何かを体験しに行く、何かを探しに行く、誰かに会いに行く。(店に)来る理由をどこまでしっかりと積み上げられるか」と話します。

集まった客に本を ニーズをAIで分析

さらに、集まった客に本を買ってもらおうと、会社ではAI=人工知能を使ったシステムを22年春にも一部の店舗で試験的に導入します

会社が発行するポイントカードの顧客7000万人が、どんな本を買っているかをAIに落とし込み、それぞれの書店の周りに住む人の年齢や性別から、どんな本のニーズが高いのかを分析します。

足を運びたくなる品ぞろえと、そこで生まれる交流。新たな書店のカタチについて梅谷社長は「いまの時代、コロナもそうだが、皆さん人に会うことを欲しているんじゃないか。ネットではできないことなので、これが大事な僕らの生命線」と話しました。

この会社では、書店をまちを盛り上げる情報発信の拠点と捉え、今ある地域の書店とも今後連携していきたいとしています。

(経済部 記者 保井美聡)

【2022年1月25日放送】

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