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国境を越えて リモートワークビザ

NHK
2021年8月26日 午後0:28 公開

コロナ禍で広がるリモートワーク。日本でもリゾート地などで働く人が出てきている中、海外では国境を越えたリモートワークが始まっています。

ドバイを拠点にスウェーデンの会社を経営

UAE=アラブ首長国連邦で最大の都市で、高層ビルが立ち並ぶドバイ。ここを拠点に活動するパトリック・パルムさんは、北欧のスウェーデンにあるソフトウエアメーカーの経営者です。会社に在籍したまま、5月にドバイに移りました。世界に向けてゲーム産業の状況をオンラインで発信するなどしています。

働くのはパルムさんの自宅から。スウェーデンにいる部下から報告を聞いたり、仕事の指示をしたりするのはすべてリモートです。

ドバイにパルムさんの勤務先はありません。それでもここで働けるのは「リモートワークビザ」を持っているからです。ビザを取得すれば1年間の滞在が認められます。

家を借りたり、銀行口座を開いたりできるほか、新型コロナウイルスのワクチン接種も受けられます。

スキューバダイビングが趣味のパルムさんは、休暇を楽しめるリゾート地が近く、飲食店などの営業規制も緩やかなドバイに住めるチャンスと、拠点を移す決断をしました。「ドバイは物価も高すぎず、いい家に住めて、いい生活が送れる。ネット環境さえよければ住む場所なんて関係ない」と話します。

経済回復へ ねらいは“高所得の外国人”

ドバイ政府がリモートワークビザの制度を導入したのは2020年10月。ねらいはコロナ禍で落ち込んだ経済の立て直しです。

ドバイ経済は、外国からの観光や投資に依存してきましたが、コロナ禍で訪れる人が激減。外国人を当て込んで計画された高層マンションの中には建設が止まったところもあります。

そこで外国人を呼び込む別の手段として注目したのが、急速に普及し始めたリモートワークでした。ドバイ政府は新たなビザに、月収が55万円以上の人という条件を付けました。高所得者が増えれば、投資が広がり経済成長にもつながるという期待からです。

これまでにビザの申請をした人は企業の幹部など約3000人。パンデミックをきっかけにリモートワークがより一般的になれば、さらに増えると見込んでいます。

ドバイ観光局のイサーム・カーゼィム氏は「この制度で定住する外国人が増えれば増えるほど、ドバイ経済も大きく潤うことになるだろう」と話しました。

「リモートワークビザ」の導入は、エストニアやクロアチアなどヨーロッパの一部の国でも始まっています。日本も、外国人にとっては食事がおいしくて観光資源も豊富だと評判です。将来的にはリモートワークビザの導入を検討してみる手もあるかもしれません。

(ドバイ支局 記者 山尾和宏)

【2021年8月26日放送】

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