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節水農法が農業を変える!?
NHK
2021年6月4日 午前11:45 公開

水の使用量を10分の1に減らすことができる“節水農法”が注目されています。環境にやさしく、味にも付加価値が?

少ない水で「膜耕栽培」 水資源確保に悩む地域からも注目

三重県多気町にある農業法人「ポモナファーム」では、農業用ハウスでトマトなどの野菜を1年中栽培しています。

行っているのは、独自の吸水シートを使った「膜耕(まくこう)栽培」と呼ばれる農法です。厚さ5ミリの吸水シートを敷いて培地に見立て、このシートから膜を通して少しずつしみ出てくる水で植物を育てます。

植物は、しみ出たわずかな水分を利用しようと、毛細根と呼ばれる細い根を発達させます。そのため従来の10分の1ほどの水で育てることができて、河川や土壌の汚染につながる排水も出ないといいます。

この農業法人で農場長を務める杉村圭亮さんは「野菜はそれだけ水が少なくても育つということで、すごい力を持っている。限られた土地でいかに野菜の生産をしていくか」と話しています。

この農法は地球環境にやさしく、アフリカなど水資源の確保に頭を悩ませている国や地域からも注目されています。

トマトがより甘く 味に付加価値

また、この節水農法を導入すれば、生産者だけでなく消費者にとってもメリットがあるといいます。少ない水分で育てたトマトの糖度を測ると「11.9」。一般的にトマトは糖度8以上が甘いとされており、それを大きく上回りました。

この農業法人の地元では毎週、産直市が開かれています。女性客の一人は「1週間に1回食べる。とても甘いし、新鮮」と話し、好評。別の女性客は「おいしくて、子どもや孫が全部食べられるようになった」と話しました。

栽培開始から3年。この農業法人は、節水農法には大きなビジネスチャンスがあると考えています。農場長の杉村さんは「私たちは“地球保全型農業”と表現している。今後、世界の人口が90億人を迎える時代に非常に大事な点になってくる」と話しています。

この農法は、初期投資はかかるものの、使われる吸水シートは何度でも利用できて、コストを抑えることができるということです。

(津放送局 ディレクター 森哲也)

【2021年6月4日放送】

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