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航空業界の出向者 “新たな一歩をつかみ取れ”

NHK
2021年6月18日 午前11:54 公開

厳しい状況が続く航空業界。ANAホールディングスは、雇用を維持するため社員を出向させています。社員たちは新たな職場で何をつかみ取ろうとしているのでしょうか。

ホテルで接客力を磨くグランドスタッフ

長野県大町市にあるリゾートホテル「ANA ホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」。3月からフロント業務などを担当する松本郁乃さんは、それまでANAのグランドスタッフとして働いていました。空港ではフライトまでの限られた時間で搭乗券の発券などを行ってきましたが、ホテルでは客と向き合う時間が長くなったといいます。

松本さんは「空港だと安全第一で動いている部分が多い。それに比べるとホテルは、お客様に柔軟に寄り添える」と感じています。滞在した子どもの客のために「またあそびにきてね」とメッセージカードを書くなど、「また来ていただけるように工夫をたくさんしている」といいます。

ちょっとした心遣いが客との距離を縮めることを肌で感じた松本さん。空港での接客にも生かしたいと考えています。「ホテルは到着からお客様の出発まで対応できるので、幅の広い接客ができる。空港に戻っても、おもてなしを体現できるようにしたい」と話しました。

”自分の足で信頼関係を築く” 運航管理担当者

全く異なる業界に飛び込み、新たなスキルを磨こうという人もいます。空港で運航管理などを担ってきた尾幡有子さんは、建設会社の高松建設に出向。営業企画部に1年間配属されることになりました。客室乗務員の辻村真希さんとともに業務にあたります。

2人はこの1年、運休や減便、一時帰休が続く中、活躍の場所を求めて異業種への出向を決めました。

出向先では早速、営業に欠かせない知識を得るため研修に参加。尾幡さんは初めて見聞きする業界の専門性に戸惑いもあるといい、「緊張や不安はある。焦らず、謙虚な気持ちでやっていければ」と話します。

5月には、新たな工事につながる情報はないか、不動産会社を営業で回るようになりました。出向先からは、新たな契約のサポート役になることを期待されています。

2人は営業という初めての経験を通じ、自分の足で稼いで信頼関係を築いてこそ、ビジネスが始まることを実感したといいます。尾幡さんは「(空港では)お客様が来てくださると勘違いしてしまっている部分がある。“営業の人が築いてお客様が来てくれること”を実感して仕事をしないと、だめだなと感じた」と話しました。

出向期間は3か月から3年ほどで、ホテルに出向した松本さんは今週職場に復帰し、学んだことを同僚と共有する場を設けることになっているということです。

(経済番組 ディレクター 天城亮太郎)

【2021年6月18日放送】