中国EV市場 日系メーカーに逆風

NHK
2021年12月9日 午後0:56 公開

世界最大の自動車市場・中国。政府が環境規制を強化し、現地メーカーがEV(電気自動車)化を加速させる中、日系メーカーが対応を迫られています。

EV“当たり前”の中国市場 差別化が勝負のカギに

 中国・広州で11月に開かれたモーターショー。主役はEVなどの「新エネルギー車」です。    

中には1回の充電で1000キロ以上走るという車や、ドアが声に応じて自動で開くものもあります。

このモーターショーでは「新エネルギー車」が展示の4分の1を占めました。中国ではEVであることはもはや当たり前で、どう差別化するかの勝負になっています。

環境規制を強化 「クレジット制度」も導入

急速に進む“EVシフト”の背景にあるのが、中国政府による環境規制の強化です。自動車メーカーは、「新エネルギー車の割合を高めること」平均燃費を毎年向上させること」が求められています。

この規制をクリアすると、メーカーは「クレジット」と呼ばれるポイントを得られます。

ただ、クレジットが足りないメーカーは、ほかのメーカーからクレジットを購入するなどして満たす義務があります

日系メーカーは合わせて最大1200億円のクレジットを購入しなければならないと試算されています。EVなどの販売がまだ少ないからです。

対応迫られる日系メーカー 新モデル投入

環境規制への対応が迫られる中、2018年にいち早く中国にEVを投入したものの販売を伸ばすことができなかった日産は、新たな戦略に乗り出しました。

欠点だった航続距離を改善しクレジットを稼げる車として、21年にEVとガソリン車の特徴を併せ持つモデルを投入。発電専用のエンジンから電気をつくり、EVと同じようにモーターで走る仕組みです。

バッテリーの残量などを気にせずに走行できるほか、燃費の改善によってクレジット不足を補うこともできるといいます。この車でシェアを伸ばし、将来のEV販売拡大につなげる戦略です。

環境規制が厳しくなる中国では、実績のある日系メーカーでも、一歩先を行く技術力がなければ勝ち抜けない状況になっています。

日産の中国の合弁会社「東風日産乗用車公司」の総経理を務める山口武さんは「この2年間で、5年あるいはそれ以上の急激な成長を国産(中国)メーカーは遂げている。私どもは比較的長い歴史のある自動車メーカーだが油断していられない」と話しました。

中国ではクレジット制度で約35億円稼いだ現地EVメーカーがあります。また収入を販売車の値引きに回して売り上げを伸ばす企業もあるとされています。EVで出遅れている日系メーカーにとっては、競争が一段と厳しくなる構造になっています。

(広州支局長 高島浩)

【2021年12月9日放送】

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