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進化する ”着るロボット“

NHK
2021年9月13日 午後0:54 公開

着るロボット”とも言われ、力作業を手助けしてくれる「パワーアシストスーツ」の導入が、工場や物流拠点、介護や農業などさまざまな現場に広がっています。東京パラリンピックの一部の競技でもスタッフが活用。性能が年々進化しています。

パラリンピックで競技運営を支えたパワーアシストスーツ

 東京パラリンピックの競技の一つパワーリフティング。選手の両脇で何回もおもりの交換を行うスタッフが「パワーアシストスーツ」を身につけていました。    

このスーツは腰の部分にセンサーが内蔵されていて、ものを持ち上げる動作を検知するとモーターが動き、体を起こす方向に力が働きます。腰にかかる負担を10キロほど軽減してくれるといいます。

導入を決めた競技団体・ワールドパラパワーリフティング連盟のホルヘ・モレノ会長は、使った感想について「動きを助けてくれるのが不思議な感覚。ロボットになったようだった。重くないのでつけているのを忘れるくらいだった」と話しました。

重さ4.5キロ 軽さを追求

パラリンピックで使われたスーツを開発したのは、奈良県にあるベンチャー企業「ATOUN」。18年前の創業以来、さまざまな製品を生み出しています。

災害復旧や建設現場などで使うことを想定した大型のパワーアシストスーツも開発中です。

この会社が特に力を入れてきたのが軽量化です。パラリンピックで使われていたものは重さ4.5キロで、無理なく装着できるといいます。

6年前に発売した製品は7.5キロありましたが、フレームを金属から樹脂に変えたり、バッテリーを小型化したりして、軽さと力強さを両立させました。

藤本弘道社長は「体の状態や生まれながらのスキルの差を気にせずに、テクノロジーでクリアしていける活動ができればいい」と話しています。

年齢や性別を問わず働ける環境へ

軽量化を実現したことで導入する企業も増えています。製薬会社「旭化成ファーマ」の静岡県にある工場では、原料が入ったおよそ20キロの袋を移し替える作業を、人の手で行わなくてはなりません。

そこでこの工場では3月から、腰に加え腕の動きをサポートするパワーアシストスーツを使い始めました。持ち上げる時にワイヤーが引っ張ることで、腕の負担を12キロ軽減できるといいます。

従業員の青野弘明さん(58)は「(スーツが)力を貸してくれるので、全然疲労度が違う」と話します。

この工場では、パワーアシストスーツの力を借りれば、高齢者なども現場で働くことができるようになると考えています。

佐々木秀男工場長は「筋力がない人でもこういう機械を使うことで、普通に作業ができる。年が上がっていってもそのまま継続して(仕事が)できるようになってくれるといい」と話しました。

いま開発されているパワーアシストスーツには、足に装着して階段や斜面の上り下りをサポートする製品などもあります。年齢や性別を問わず働ける環境がますます大切になる中、さらなる技術の進歩が期待されます。

【2021年9月13日放送】