ニュース速報

脱炭素時代のクルマ “脱エンジン”に挑むホンダ

NHK
2021年11月11日 午後1:03 公開

自動車メーカーのホンダは、2040年までに新車のすべてを電気で走る「EV」水素で走る「FCV(燃料電池車)」にすると宣言しました。“エンジンのホンダ”を支えてきた技術者たちが、脱炭素時代に目指すものとは?

“エンジン一筋”から“車の脱炭素化”へ

ホンダの技術開発のトップで、本田技術研究所の社長を務める大津啓司さん。大衆車から自動車レース最高峰のF1まで、入社以来一貫してエンジンの開発に携わってきました。

エンジンへの思い入れは人一倍ですが、脱炭素に向かう時代の流れには逆らえないと感じています。

エンジンを継続してZEV化(車の脱炭素化)ができるかというと相当難しいことなので、確実にカーボンニュートラルを達成するための技術をしっかり開発して世の中に出していくことだと思う

その上で一言「さみしいですけどね」と付け加えました。

航続距離をより長く カギはF1エンジニアの技術

“エンジンのホンダ”はEVの分野でどう戦っていくのか。大津さんは、極限の世界で未知への挑戦を続けたF1のエンジニアたちの技術がここでもカギになると考えています。

彼らは、見えないものを可視化するとか、分からないことを分かろうとする仕事のしかたが身に染みついている。あらゆる技術の領域で活躍できる人材を(ホンダは)持っている」と話します。

EVの最大の課題は航続距離が短いことです。エンジニアたちは今、空気抵抗を調整することで距離を伸ばそうとしています。

開発に携わる皆川真之さんも、かつてF1のエンジニアでした。ホンダに入社して10年目の時に念願だったF1の車の開発を任され、車体周りの空気の流れを変えることで速度を極限まで上げる「ダブルデッカーディフューザー」という部品を開発。年間優勝にも貢献しました。

EVも部品の角度などをミリ単位で調整すれば、航続距離は数キロ単位で変わるといいます。

皆川さんはF1の技術を未来へつなごうと、新たな挑戦に気持ちを切り替えています。

F1というフィールドからは離れたが、磨いた技術をきちんと投入して、EV車においてもわれわれの車で世界一をとりたい」と話します。

異業種参入のEV市場 「チャレンジしないと勝てない」

異業種の企業も次々と参入し、ライバルがひしめき合うEV市場。技術開発の責任者の大津さんは、車づくりへのこだわりは変わらないと考えています。

どんな価値を提供するんだ、お客さんは何を欲しがっているんだ、そのためにどんな技術が必要なのか。われわれが“車づくり師”として積み上げてきたいい車づくりは、EVになっても絶対にできる」と話します。

そして「とにかくチャレンジすること。ホンダはそれじゃないと勝っていけないかもしれない」と語りました。

モーターがあればつくれるEVは他の産業からの参入障壁が低く、「コモディティー化」=特別なものでない量産品になってしまうという見方もあります。そうした中でホンダは、航続距離だけでなく、エンジン車特有の“車の乗り味”などをEVでも表現できないかと考えていて、付加価値を高めたいとしています。

(経済部 記者 坪井宏彰)

【2021年11月11日放送】

【関連番組】NHKスペシャル「EVシフトの衝撃」11月14日(日)午後9:00放送

あわせて読む

脱炭素時代になぜ?国内のEV充電スタンドが減少

EVバッテリー 再利用が加速する中国

EV・再エネに不可欠な蓄電池市場が拡大 “次世代型”も登場

登場 機能をアップデートする車

IT企業が主導 中国の自動運転「レベル4」実験