移動をあきらめないで 介助を一括手配

NHK
2022年3月1日 午後0:07 公開

車いすを利用する人や高齢者にとって、鉄道や飛行機などを乗り継いで移動することは大変で、旅行をあきらめてしまうことも少なくないと言います。そこで移動する際の手助けをネット上で一括手配し、移動を楽にする新たなサービスの実証実験が行われました。

車いすで乗り換えが多いと不便…

車いすを使っている三代達也さん(33)は、18歳の時に事故に遭い手足にまひが残っています。鉄道などの乗り降りには介助が必要で、乗り換えが多いと不便を感じるといいます。

障害の度合いとか車いすの種類とか毎回伝えないといけないところで、とても時間がかかってしまうのは大変」と話します。

ネットで介助を一括手配

三代さんは2月、大手航空会社などが行った「ユニバーサルMaaS(マース)」の実証実験に参加しました。駅や空港などでの介助の手配をインターネット上で一括して行えるサービスです。

介助が必要な人が移動する場合、今は必要な支援などをそれぞれの交通機関に個別に伝えなければなりません。利用者と事業者のどちらにも大きな負担になっています。

このサービスでは、携帯電話に情報を入力すると移動ルートや乗り継ぎの時間などが表示され、介助を一括で手配。駅や空港で必要な支援を受けることができます

リアルタイムで位置確認 利用者も事業者も「ストレスなくなる」

実証実験で三代さんは、東京から大阪まで移動しました。JRからモノレールに乗り換え、飛行機で移動し、さらにタクシーで大阪市内に向かいます。

三代さんは午前7時ごろにJR浜松町駅に到着。乗り換え地点のモノレールの駅では、駅員が三代さんの位置情報をリアルタイムで確認し、遅れやトラブルがないかチェックしながら到着を待ちました。

モノレールへの乗り換え時間は8分であまり余裕はありませんでしたが、情報が共有されていたためスムーズに乗り換えができました。

モノレールの駅員は「リアルタイムの情報が分かると係員もスタンバイ(準備)しやすい」と話します。

三代さんはその後、予定どおりに羽田空港へ移動し、無事に目的地までたどり着くことができました。

三代さんはサービスについて「こちら側も事業者側も多分ストレスがなくなる。行った時にすぐに受け入れてくれて『どこの便ですね』と案内があったので、すごく負担がなくなった」と話しました。

「移動をあきらめない世界を」

実験を行った全日空では、移動や乗り継ぎが難しいため旅行をためらう高齢者や障害者などを「移動躊躇(ちゅうちょ)層」と呼んでいて、こうした人たちの旅行の需要を増やしたいと考えています。

航空会社でユニバーサルMaaSプロジェクトを担当する大澤信陽マネージャーは「『移動躊躇層』の目線で移動マーケットをつくっていく。誰もが移動をあきらめない世界をつくっていきたい」と話しています。

今回の実証実験は滞りなく進みましたが、多くの利用者の予約が重なった場合にどうサポートするかなど、実用化に向けては課題もあります。全日空では2022年度に段階的にサービスを始めたいとしています。

(経済番組 ディレクター 田隈佑紀)

【2022年3月1日放送】

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