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潜入!アンモニア燃料船 開発の現場

NHK
2021年11月4日 午後0:21 公開

10月31日からイギリスで開かれている気候変動対策の国連の会議「COP26」。議題の一つに船舶の温室効果ガス削減があります。二酸化炭素(CO2)を出さない船を開発しようと、海運大手の日本郵船などが「アンモニア」を燃料にした船の開発に取り組み始めています。

CO2を出さない新燃料「アンモニア」

日本郵船が世界で運行している船はおよそ680隻。大型船の燃料としてLNG=液化天然ガスの導入を進めていますが、重油に比べれば少ないもののCO2が排出されることが課題です。

そこでいま急いでいるのが、CO2を出さない船の開発です。今回、デンマークのコペンハーゲンにある開発拠点の撮影が特別に許可されました。

この開発拠点は、日本郵船がヨーロッパやアメリカの企業などと共同で2020年に設立。世界18か国から集まった50人以上の技術者らが、LNGや重油に代わる新たな燃料で動くエンジンを研究しています。

その新たな燃料がアンモニアです。燃やしてもCO2を出さない特徴がありますが、強い刺激臭があり劇物に指定されていて、慎重な取り扱いが求められるといいます。

日本郵船の加藤淳さんは「アンモニアは毒性があるので、船の燃料として使うためにはリスク評価だったりベースとなる仕様をつくったり、そういったことに取り組んでいる」としています。

高まる海運の脱炭素化ニーズ 3年後のエンジン完成を

アンモニアをいかに効率よく燃焼させるかという課題もあります。そのため、エンジンにさまざまな変更を加えることも必要です。

例えば、燃料を送り込むインジェクターという部品の設計をいちから見直しています。アンモニアはLNGや重油に比べて燃えにくく、適切に圧力をかけて細かい霧状にする必要があるためです。

コスト削減など実用化には乗り越えるべき課題もありますが、3年後のエンジン完成を目指しています。

日本郵船の加藤さんは「海運の脱炭素化は非常に難しい課題だと思うが、CO2をできるだけ減らしてほしいというお客様からの要請が非常に日々高まっていて、海運業界もそれに応えていく必要性があると考えている」と話しました。

日本郵船のほかに、商船三井も温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロに、川崎汽船は50年までに08年の半分にする目標を掲げ、技術開発などを急いでいます。

アンモニアは世界各地で主に肥料などに使われていて、生産体制や輸送手段が確立されているので、燃料に活用しやすいという利点があります。ただ船の燃料を賄うためには、供給を大きく増やせるかどうかが課題になります。

(ロンドン支局 記者 松崎浩子)

【2021年11月4日放送】

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