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“空飛ぶバイク” テイクオフ!?

NHK
2021年11月8日 午後1:15 公開

“空飛ぶ乗り物”の開発競争が激しくなる中、東京のベンチャー企業が10月26日、地上から浮いて移動するバイク型の乗り物「ホバーバイク」の車両を公開しました。空中にふわりと浮いて方向転換もスムーズ。その秘密とは?

エンジン、炭素繊維技術 日本の技術を結集

今回、ホバーバイクを開発した「A.L.I.Technologies」の神奈川県にある開発拠点に、初めてテレビカメラが入りました。

案内してくれた開発責任者の三浦和夫取締役は、ソニーの執行役員から転身。ゲーム機開発などで培ったノウハウを生かして開発に取り組んでいます。

早速、10月に公開された車両を間近で見せてもらいました。車両を浮き上がらせるのは前後の大きなプロペラです。構造を知りたいと頼んだところ、分解して見せてくれました。

エンジンはバイクメーカーのカワサキ製。排気量は1000ccとパワーを特別に強化しています。設計はレーシングカーの構造を応用。前後に伸びたシャフトを通じて動力が伝わりプロペラを回して浮き上がります。

車体は東レグループの炭素繊維技術を使い、強度と軽量化を両立させました。

三浦さんは「車やバイク、そして軽量化といった技術は(日本で)累々とつながってきた。われわれがまとめることによって『技術がここまで来た』と明確になる」と話します。

国内外で開発競争激化

空飛ぶ乗り物をめぐっては、トヨタ自動車の出身者などが創業した日本のベンチャー企業「SkyDrive」やホンダ、さらにドイツの「ボロコプター」や中国の企業なども開発にしのぎを削っています。

三浦さんたちの会社も、技術者を増やし研究開発を加速させてきました。

ただ、開発は試行錯誤の繰り返しです。2年前に開発した車両は前後それぞれにエンジンを備えたところ、パワーは出ても安定して浮かず前後のバランスが課題でした。

その後の改良モデルでは、制御しやすいよう四隅に縦のプロペラを配置。ところが今度は空気の流れが悪くなり揺れやすくなりました。

会社ではJAXAに協力してもらって風洞試験を行い、課題を洗い出しました。より長くより安定して浮かせるためにはどういったデザインがいいのか、研究を重ねました。

そして初号機から8台目、足かけ4年でようやく今のデザインにたどりついたといいます。

記者も車両に乗ってみたところ、どっしりしていました。気づいたのはハンドルが動かないこと。グリップの近くにあるレバーやボタンで操作します。

”空飛ぶ乗り物”が現実に 「手軽に活用を」

三浦さんたちは、ホバーバイクをより身近な乗り物として活用してもらいたいと考えています。

三浦さんは「ユーザーのそばにエアモビリティーがある世界がつくれれば。災害でも、どこに行って楽しむでも、そういった世界を目指せれば」と話しました。

災害救助などでの活用も期待 課題は法整備

ホバーバイクは道がない山間部などでも移動できるので、災害時の被害の確認や救助などに活用できるのではないかと見られています。

また中東の砂漠地帯など道路がないところの移動に使えないかと、輸出も考えているということです。

現在、国内では法律が整備されていないため街なかを走ることはできません。三浦さんたちの会社では、空飛ぶ乗り物が現実になりつつあることをアピールして、将来を見据えたルールづくりの機運を盛り上げていきたいとしています。

(経済部 記者 加藤誠)

【2021年11月8日放送】

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