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焼酎とお茶の“二刀流”が世界を魅了!

NHK
2021年11月19日 午後3:02 公開

大リーグの大谷翔平選手は野手と投手の“二刀流”で大活躍していますが、鹿児島県には特産の「芋焼酎」と全国有数の生産量を誇る「お茶」の双方をビジネスとして手がける“二刀流の経営者”がいます。その二刀流から生み出された製品が世界で注目されています。

パリのコンクールで最優秀賞

フランス・パリで9月に開かれた、シェフやソムリエが日本の酒などを審査するコンクール。2021年に初めて設けられた焼酎・泡盛部門で164の銘柄から最優秀賞に選ばれたのが「お茶の香りもする芋焼酎」です。炭酸で割ることで絶妙な香りが引き立つことが評価されました。

この焼酎が生まれたのは日本有数のお茶どころ、鹿児島県南九州市の知覧にある小さな蔵元「知覧醸造」です。

地元でとれた一番茶を蒸したサツマイモを入れたもろみに大量に投入。一週間ほど発酵させたあと蒸留することで、お茶の香りがする芋焼酎が出来上がります。

焼酎ブーム去り茶葉は低迷… 発想を転換

この蔵元は大正8年の創業時からお茶の栽培を続けてきました。秋は焼酎春から夏はお茶繁忙期をずらした二刀流が経営の安定をもたらしてきました。

ところが、自慢の二つの刀にかげりが出ます。焼酎ブームが終わり、鹿児島県産の芋焼酎の生産量は10年間で3割も減少。お茶も急須でいれる高価な茶葉の需要が低迷しています。

頭を悩ませていた社長の森暢(もり・のびる)さんが思いついたのが、芋焼酎とお茶という2つの特産品を掛け合わせることでした。

森社長は「発想の転換もあるかもしれないが、身近にあるものでつくると案外すごくおいしいんじゃないか」と話します。

二刀流の経験がブレンドに生きる

しかし商品として確立するには、芋焼酎の力強い味わいとお茶の繊細な香りを調和させなければなりません。そこで生きたのが両者を知り尽くした“二刀流”の経験でした。

森社長は、急須に芋焼酎と地元でとれる約10種類のお茶の葉を入れて試飲しました。

お茶農家としてもっといい香りが出るはずだ。焼酎蔵としてもっと焼酎のよさが出るんじゃないか」。毎年変わる味や香りを見極めながらブレンドを繰り返し、最適な組み合わせにたどり着いたといいます。

海外展開も視野

二刀流が生み出した新たな特産品は、普通の焼酎よりも5割ほど高いにもかかわらず人気を集め、海外展開も視野に入ってきました。

森社長は「海外でもこの香りがすごく好まれているのを確信できたので、輸出にも力を入れていきたい」と話しています。

地域の特産品が持つ一つ一つの強みを生かし、それを掛け合わせることでより強力な新商品に仕立てることができるかもしれない。そうした柔軟な発想がビジネスで生き残るうえで大切なのかもしれません。

(鹿児島局 記者 猪俣康太郎)

【2021年11月19日放送】

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