文田健一郎さんの筋肉に学ぶ!おはSPO筋肉体操~堀菜保子のきょうもねホリはホリ~

NHK
2022年8月5日 午後2:54 公開

堀菜保子です。
おはSPOが始まって5か月目、私は筋肉体操にとどまらず、動画配信サイトでトレーニング動画を漁って真似するのが、趣味の一つに加わりました。
そして筋肉体操は8月からは毎週火曜日にお伝えすることになりました。
見逃さず、ご覧ください!
そしてこちらのブログからも復習してくださいね。

さて、今月はレスリング男子グレコローマンスタイルの東京オリンピック銀メダリスト、
文田健一郎(ふみた・けんいちろう)選手です。

“世界最古の格闘技”と言われるレスリング。
近代オリンピックでは1896年の第1回アテネ大会から実施される伝統の競技です。

文田選手の戦うグレコローマンスタイルは上半身のみで行う競技で、豪快な「投げ技」が見どころ。
文田選手の中学の頃から磨いてきた「そり投げ」はとてもとても美しい弧を描くんです。

日々トレーニングを積み、肉体と肉体、まさに力と力のぶつかり合いをしている文田選手と谷本先生との対談は、お互いの“筋肉愛”のぶつかりあいになりました!

≪第1回≫姿勢ビシッと 脊柱起立筋

谷本道哉さん
トレーニングって文田さんにとって、どういう存在ですかね?

文田健一郎選手: トレーニングとか筋肉っていうのは、あくまで僕のレスリングという競技を支えるサブ的なものなんですけれど、やっぱり本当に大事な柱というか、筋肉がなければ試合でも勝てないし、レスリングできないので、本当に僕の中の大事な柱の1本です。

谷本さん
レスリングは全身を使うのでもちろんどこの筋肉も大事だと思うんですけれど、特にこの部位というのはありますか?

文田選手 特に体幹はすごく大事です。レスリングは常に相手とふれあって力を出し合っているので、自分の姿勢を保つのも、相手を技で倒すのも、常に体幹を固めるっていうのはすごく意識してます。

谷本さん
そうですね。もう腹筋群も使うし、背筋群も使うし、もちろんどっちも大事なんですけど、レスリングでリフトしたりぶん投げたりっていうのは、背筋群なんですよね。
ちょっと触らせて頂いていいですか。
広背筋でかいですね、背骨にずっと沿ってあるのが脊柱起立筋で、ちょっとグッと力入れると、真ん中を中心に両脇にシャツの上からでもはっきり、ここの山が2つポコポコと完全に見えますね。これ「脊柱起立筋山脈」ですね!これで後ろに反り返って、ぶん投げる。

―文田さんもやっぱそこはすごい意識されて?

文田選手 意識しています。特に反るのも、前に崩されたときにも支えるのが背中なので、相手の技を防ぐのも背中ですし、かけるのも背中なので、特に大事にしています。

谷本さん
皆さんの場合は、この筋肉で姿勢を支えているんですよ。我々の体は前傾していて、大げさに言うとピサの斜塔みたいにして立っている。頑張っているのは背中側なんですよ。腹筋群ってね、結構力抜けている。脊柱起立筋がいい姿勢を作るのに圧倒的に大事ですから、脊柱起立筋をしっかり支えて、ビシッと気持ちいい姿勢を作りましょう!

≪第2回≫かわいい上腕二頭筋

谷本さん
やっぱりレスリングの選手、グレコの選手は上半身が特にでかいんですけど、どんなトレーニングをよくされます?

文田選手 そうですね。懸垂は引きの力も使うので、懸垂を特に重点的にやります。

谷本さん
上腕二頭筋が、やっぱりすごいですね。もともと二頭はでかかったんですか。

文田選手 いや、もともとは大きくなかったです。大学に入って、懸垂とかウェイトトレーニング力入れるようになってから、大きくなりましたね。 二頭はすごい好きというか、丸くなるので。そりゃもう可愛いです。

谷本さん
こんな可愛い二頭筋は、もうボールですよね。言われないですか。これ何入れてんだって。
野球やってる子とかがボール拾いに来て、どこ行ったかなって…。

文田選手 取り出して、こっち投げて返します(笑)。

谷本さん
レスリング、押しももちろんあるんですけど、やっぱ大技は投げたりリフトしたりは引き動作なんですね。引き動作っていうのは、日常でいうと物を持ったりする時に使う筋肉で意外と大事なので、皆さんも鍛えていただきたい。
ただ家には懸垂の場はないので、手軽にできるように手を引っ張り合って、グンと右に、左に。全力、全力、引き切る、引きちぎる。こんな感じでね、文田さんのようなたくましい上半身を、作って頂きたいと。

≪第3回≫“猫の体操” 背中・腰柔らかく

谷本さん
文田選手といえば猫好きだというのよく聞くんですけれども、猫のどこが魅力ですか?

文田選手 いやあもう、天真爛漫っていうかマイウェイっていうか。我が道を行くのがすごく好きで。甘えてきたり、ちょっと急に機嫌悪くなったりとか。あの自由な感じがすごく魅力です。

谷本さん
そうですよね。僕も自由にいたいタイプなので、猫好きですね。
で、レスリングの方に寄せていくんですけど、猫とかネコ科は哺乳類の中でも一番背骨がやわらかい。ものすごく曲がるし、ものすごく反るし。チーターはそれでものすごく早かったりするんです。文田選手のそり投げの時の背骨の反り方も猫なんじゃないかっていうぐらい。ネコ好きというよりも、もう動きそのものが猫なんじゃないか、だから猫レスラーって呼ばれているという話を聞いたりします。背骨まわりの柔軟性というのは意識されてますか。

文田選手 意識しています。僕自身の技にもすごく重要ですし、そもそもレスリング自体に柔軟性、特に背骨とか腰の柔軟性はすごく大事になってくる。今はもう本当に柔軟性を落とさないように日々意識してトレーニングやったり、柔軟やったりっていうのに取り組んでいます。

谷本さん
日々意識しているというのはどういうことを?

文田選手 普段生活している中で、練習以外でも、例えばテレビを家で見ている時間でも30分から1時間に1回は絶対にぐーって胸を張って胸椎というか背骨の伸展を出して。自分ですごく反って丸めてというのを絶やさないようにしています。

谷本さん
視聴者の皆さんもされるといいと思います。胸張る時はね、肩引くといいんです。肘を引いてみたりするとやりやすいですね。柔軟性を出すトレーニングとしてはどんなことをしていますか?

文田選手 ブリッジをメインにやってます。同時に首も鍛えられるんですけど。上におもりをのせたり、選手を乗せたりしながらブリッジをしたりして、柔軟性を出しつつ強度も同時に強さも鍛えるっていうトレーニングを毎日。

谷本さん
ちょっとブリッジ見せていただいて…すっごい反るんですね。どこまでいきます?
うわっすごい。どこまでも。もうほぼOの字ですね。ほぼ丸になるぐらい柔らかいんですよね。

谷本さん
では、猫のような背骨の柔らかさを作るには、猫に学ぶ。
文田選手はブリッジで柔軟性を作りますけど、みなさんブリッジすると大変だと思いますので、猫ちゃんに学ぶストレッチを今日はやっていきたいと思います。

≪第4回≫頭板状筋 舌骨上筋 姿勢正しておいしく飲み込む

谷本さん
レスリングといえばね、やっぱ文田さん首ぶっといじゃないですか。ずっと何年も鍛えないとやっぱりだめですか?

文田選手 そうですね。けがにもつながってしまうので、レスリングだと特に一番小さい頃から継続している運動です。何よりも大事ですね。

谷本さん
かっこいいしね、首太いと。うらやましいです。

文田選手 シャツが入んないんですけどね。ボタンが留まらない。何センチあるかわかんないです。もうオーダーじゃないとはいらない。それかサイズを首で合わせて、ぶかぶかのシャツを着ていました(笑)。

谷本さん
首に合わせると全部でっかくなっちゃうんだ。
首をものすごく鍛えてるイメージがあるんですけど、その太い首はどんなトレーニングで筋肉をつけてます?

文田選手 主にブリッジです。首を鍛えるのはブリッジがすごく重要なんですけど、一般的な手を使ったブリッジではなくて「首だけで支える」ブリッジ、頭をついてするブリッジで鍛えています。まず最初は自分の体重だけで行うんですけど、徐々に強度を上げて最終的には人が乗っても大丈夫ぐらいの強度が出るように鍛えています。

文田選手 それで、強度を上げるために重りを。今は40キロなんですけど、普段は選手に乗ってもらったりして鍛えます。

谷本さん
あまり軽々やるんで、40キロを乗せているとは思えないですよね。とても見えないけどしっかり40キロです。
これ首の後ろ側には頭板状筋とか僧帽筋。前はいっぱい筋肉あるんですけど、喉の下の舌骨上筋などを使います。実は首の前の筋肉は「飲み込む力」にも関係しているんです。しっかり食べてうまく飲み込めるようにするために、首のトレーニングは大事です。後ろは後ろできちっと首を支える筋肉ですから、きちっとした姿勢を作るためにも大事です。皆さんもぜひ鍛えてください。