【どうなる日本シリーズ】野球大好きキャスターの”好き勝手対談”

NHK
2022年10月21日 午後0:15 公開

30年来のヤクルトファンの伊藤海彦キャスターと、オリックスの強さを思い知ったパ・リーグ応援団の井上二郎キャスター。どんな対戦になるのか、日本シリーズを熱く語り合いました。

失意の井上キャスター「オリックスは強かった」

伊藤海彦キャスター

きょうはスワローズファンの私が日本シリーズについて対談しようと、ソフトバンクホークスファンの井上二郎アナウンサーに来てもらっています。オリックスと闘ってきたその強さを聞きたいなと…元気ないなあ(笑)

井上二郎キャスター

よろしいのう、楽しそうで、元気いっぱいで…。人をおもんぱかる気持ちっていうのは、アナウンサーとして大事だと思うよ。

あー、勝ちたかったなあ…。やっぱり奇跡って言うのは起きないから奇跡なんだっていう感じがしましたね。オリックスがものすごく強かった、力負けだなっていう印象です。打つべき人がうち、投げるべき人がちゃんと抑える。オリックスはクライマックスシリーズのファーストステージがなかったから、勢いでいけばソフトバンクの大逆転がけっこうあるかなとか思ってたんですけど、やっぱり山本由伸投手ね。

海彦)僕も見てましたけれど、圧倒的なすばらしいピッチャー。日本シリーズはおそらく初戦で来ると思うんですけど、どうやって打つのか…。去年も第1戦と第6戦で山本由伸投手が先発をして、正直そんな打てなかったんです。「ことしもあれが来るぞ」と。

二郎)山本由伸投手を打つのはちょっと難しいんじゃないかなって思わせるような感じ。あと吉田正尚選手と杉本裕太郎選手、この2人をのせてしまったっていうのもあるんですよ。あの2人が打つとオリックス盛り上がりますからね。見た?吉田選手が和田毅投手から打ったあのホームラン。やっぱり失投を一撃で持っていっちゃう。あれはすごいの一言でした。

2人が注目する選手は…

海彦)前身の阪急ブレーブス時代も含めて、ヤクルトとオリックスは今回で4度目の日本一をかけた戦いになるんですけど、過去3回ヤクルトが常に日本一になってきました。これは相当大きい。しかも今回交流戦ももちろん勝ち越してますし、パ・リーグに対する苦手意識というのがかつてはすごくあったのが、今ヤクルトスワローズすばらしいチームのおかげで「セ・リーグいけるぞ」っていう感じもありますからね。

二郎)でもことしはねえ、そうはいかないと思うけどね。かなり強いよ、なにせソフトバンクを破ったチームですから。やっぱり投手力でいったらオリックス、打力でいったらヤクルトっていう感じになるのかな。オリックスのポイントは何といっても山本由伸投手。去年みたいに初戦と第6戦に投げてくるというのは十分ある。

オリックス 山本由伸投手

<オリックス・山本由伸投手>

海彦)そう、山本由伸投手を簡単に打てるとは思っていないけれど、打たないと勝てないんですよ。

外国人がいいときのヤクルトは強いです。サンタナ選手、クライマックスシリーズMVPをとったオスナ選手。かつてもハウエル、ペタジーニ、ラミレスとか、外国人がそろっている時にヤクルトは負けない。村上宗隆選手も打ってもらいたいんですけど、サンタナ、オスナの2人がたぶんエースを打ち砕いてくれると思うんです。

二郎)オリックスで注目しているのは宮城大弥投手ですね、いい子なんですよ。沖縄出身で、経済的に恵まれない子たちに基金作ってスポーツをやらせてあげようとしたりしています。

オリックス・宮城大弥投手

<オリックス・宮城大弥投手>

海彦)ロッテの佐々木朗希投手と同世代で、まだ3年目でしょう。 去年も10勝以上して。去年の日本シリーズで宮城投手は敗れましたけれど、8回途中まで投げて1失点なんですよ。そんなに打てなかったです。

二郎)あと僕はやっぱり宗佑磨選手。本当に守備がすごいですね、ひざをついても一塁に間に合うぐらい肩の強さもあるし、守備範囲が広いし。バッティングもいいところで打つんですよ。この投手陣を含めた守備力でオリックスが向かっていく感じになるんじゃないですかね。

海彦)僕がヤクルトですごく期待しているのが左ピッチャーの高橋奎二投手。やっぱり左投げで球速が150キロを超えてこれだけのいいボールを投げるピッチャーってなかなか打てないなと。去年の日本シリーズでも完封しています。ことしも第2戦か3戦か、高橋投手でちゃんと勝つ。板野友美さんと結婚してから去年ことしと彼の飛躍はすごいんですよ、僕は高橋投手をここまでの投手にしてくれた板野友美さんも大好きですから!

二郎)知らないよ(笑)。

高橋奎二投手

<ヤクルト・高橋奎二投手>

“ピッチャーとキャッチャー“ 監督の采配対決にも注目

海彦)予想は何勝何敗だと思います?

二郎)4勝3敗でオリックスかな。ただ去年の日本シリーズは面白かったじゃないですか、本当に1点差ゲームばっかりで。ことしもその再現になるんじゃないかなというのは思うんですよね。

海彦)去年は5試合で1点差、2点差が1試合。6試合しかやってないんで1点差と2点差のゲームしかなかった。どう継投していくか、これは監督も問われますね。

二郎)そうなんですよ!中嶋聡監督がオーダーを日替わりで変えてきてね…。1球ごとに采配を変えているって言われてるぐらいですから。…何で私はこんなにオリックスを熱く語らなきゃいけないの(笑)。いいやでも、それぐらいパ・リーグに頑張ってもらいたいっていう事なんですよ。

<オリックスについて熱く語るホークスファン>

海彦)1995年に野村克也さんのヤクルトと仰木彬さんのオリックスが日本シリーズで戦って、当時はイチロー選手がいて、古田捕手のリードでうまく抑えてヤクルトが日本一になったんですけど、当時の抑えのピッチャーが高津臣吾監督で、オリックスの正捕手が中嶋監督ですからね。選手どうしでも日本シリーズでやり、監督になってもやるっていう、同世代ですから2人は。

二郎) 高津監督は結構「うわあ~」って感情を出すじゃないですか、中嶋監督は本当にあのいぶし銀な感じがすごくいい。

海彦)「ピッチャーとキャッチャーだな」って思います。 キャッチャーって表情を悟られたらいけないですからね。ピッチャーも本当はそうなんですけど、やっぱり抑えピッチャーだし喜ぶところは喜び、怒るところは怒る。 中嶋監督はやっぱりキャッチャーとして冷静に冷静に。

<去年の日本シリーズでも対戦した高津監督(左)と中嶋監督>

二郎)なるほど、面白いね。イチロー選手で思い出したんですが、 オリックスは本拠地が今は大阪ですけれど、もともとは神戸。僕、以前神戸放送局にいたんですよ。 震災の時「がんばろうKOBE」って傷ついた街にすごく元気を与えてくれましたね…。 ということで私もきょうからオリックスを応援したいと思います。

海彦)節操がないですね(笑)。

僕は4勝3敗でヤクルト。7戦までいってほしいっていう思いがあるのと、最後は我がヤクルトが勝って、おいしいお酒を飲みたいなって。そのためには最初の2戦が神宮球場なんですよ。ここで最低でも1勝したい、もちろん連勝するのがベストですけど、最低でも1勝をとる。

「2年連続4冠のエース」対「ホームラン記録の3冠王」夢の対決

二郎)ソフトバンクの王貞治会長の年間ホームラン記録を抜いた村上宗隆選手は、ホームランを何本打てそう?ボテボテのゴロでもヘッドスライディングして勝ちを呼び込むような、やっぱ持ってる男ですね。

海彦)持っていますよ。確かに村上選手が向こうのエース級から1本打てるかどうか。やっぱり山本由伸投手から打ったりしたらそれは乗りますよ。チーム全体が「打てる」っていう空気になりますし、やはり主砲に対してはエースピッチャー本気できますから、そこは本気でいって打たれるとがっくりきますからね。

<ヤクルト・村上宗隆選手>

二郎)でも山本由伸投手の何がすごいかってやっぱりピンチに強い。ある程度打たれても絶対抑えるっていうのがすごみなんですね。

海彦)ランナーが出てからのボールの違いっていうか、ギアが2段ぐらい上がっている。エースたるゆえんですよね、絶対的エース。

二郎)欲しい(笑)。山本由伸投手って2年連続投手4冠ですよ。で、村上選手は史上最年少の3冠王ですよ。もうほとんど漫画の世界の対決よね。異常じゃない?我がソフトバンクホークスの松中選手が3冠王を取って、もう現代野球においては出ないんじゃかって一部で言われてたんですよね。それをあの若さでとっちゃう。かたや山本由伸投手は投手4冠だけでもすごいのに2年連続でやる。この”漫画対決”はなかなかすごいですよ。

<山本選手(左)と村上選手は去年そろって最優秀選手賞を受賞>

海彦)しかも2人とも20代前半という。大リーグ・エンジェルスの大谷翔平選手も含めて"漫画感"が出てきています。

二郎)そうそう、もう水島新司先生とかね、もしかすると侍ジャイアンツ的な感じかもしれない。現実が追い越してる感じがあるよね。

海彦)それが特定の球団のファンの人でなくても、ヤクルトやオリックスファンじゃない人でも日本シリーズを楽しめる要因になるかもしれないですね。

二郎)だから、うちの家族も別にヤクルトファンじゃないけれども「きょうは村上選手どうだった」っていうのが子どもとの挨拶代わりみたいになったりして、わくわくさせてくれる選手がいっぱいいるんだよね。

海彦)野球ってすばらしいですね、すばらしいスポーツです!