【今月の体操はティモンディ・高岸宏行さんとご一緒に!体操の動画はページの中段にあります】
堀菜保子です。
10月の筋肉体操は…スキージャンプ界のレジェンド・葛󠄀西紀明選手。
ことしで50歳。現役で、上を目指し続けています。
札幌局に勤務していたとき、大倉山のジャンプ場で葛󠄀西選手を何度か見かけましたが、本当にさわやか。
心からスキージャンプを愛している姿が本当に素敵です。
そして、今年の北京オリンピックで金メダルを獲得した小林陵侑選手の”師匠”でもあります。
メダルを獲得したあと、現地で小林選手に話を聞きましたが、「葛󠄀西さん」と名前を出した瞬間に、表情がふっと緩んだのがとても印象的でした。深い絆を感じました。
新しい日本のエースを育て、さらに自身も第一線で活躍し続ける葛󠄀西選手。
私たちも学ぶところ多いはずです。
ちなみに、谷本先生とは「50歳トーク」で盛り上がっていました。
お2人のトークも必見です!
【NEW】第4回 つま先をあげてつまずき防止
谷本道哉さん
葛󠄀西選手の前脛骨筋(ぜんけいこつきん・すねの筋肉)すごいですよね、玉になっていますよね。腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)、前脛骨筋、両方ともめちゃくちゃでかい。葛󠄀西選手は筋肉名に詳しいですね。
葛󠄀西紀明選手
メジャーなやつは全部言えます。高校ぐらいに勉強してから、ほぽ忘れていないですね。それを見ながら自分で鍛えたりしていましたね。
谷本さん
前脛骨筋のトレーニングはどんなことをしていますか?
葛󠄀西選手
体操座りして、だれかに抑えてもらって負荷をかけながらぎゅぎゅっとやるとか、あとはかかと歩きですね。つま先を上げて歩くだけでだんだん効いてくるし、(筋肉が)つくので。
谷本さん
いまのスキージャンプはV字で飛ぶじゃないですか。あのV字がかっこいいんですけど、当たり前のようにやっているように見えますが、時速100キロぐらいの風が当たっていますから、姿勢を保つように耐えるのってつらいですか?
葛󠄀西選手
きついんじゃないかと思います。意識していないところなんで。
谷本さん
やっぱり足先の筋肉というのはすごく付きますか?
葛󠄀西選手
そうですね、スキーを抑えたり、足首をつったりするので、前脛骨筋が発達する。
谷本さん
飛んだ瞬間に上げると言っていましたもんね。つま先を上げる筋肉の一番大きいのが前脛骨筋です。(つま先を)ぐっと上げていただいて、ぽこっと出ますよね。葛󠄀西選手の足は足首から下を隠すと、どっちが前か後ろか分からなくなる。
葛󠄀西選手
ははは(笑)。そうですね、(前脛骨筋が)ふくらはぎっぽく見えますね。
谷本さん
ふくらはぎの側の腓腹筋、ヒラメ筋とかもでかいんですけど、前にもふくらはぎがあるみたいな。すごいですよね、リバーシブルというか、後頭部に顔描いている人みたい。後頭部に顔描いている人は、すねをみるとどちらが前かバレるんですけど、葛󠄀西さん、すねを見てもバレないですね笑。前と後ろが一緒なくらい、すっごい前脛骨筋です。ここをあまり重点的に筋トレしないので、これだけ大きいのは見たことがないですね。
葛󠄀西選手
上から滑ってくるじゃないですか、滑っているときの抑えも、アプローチの姿勢の安定感にもつながると思います。
谷本さん
力自体を出しているのは、ふくらはぎなんだけど、ぶれないように両側から強収縮している、そのときにも使っていると思います。
第3回 歩行姿勢を整える
谷本道哉さん
葛󠄀西さんが自信のある筋肉はどこになりますか?
葛󠄀西紀明選手
大腿筋膜張筋という筋肉が分かりますか?この足の付け根というか、ここはたぶん人より盛り上がっている感じがします。
谷本さん
骨盤の前のほうから出ている筋肉ですね。ものすごく小さい筋肉なので普通は気にすることはないところです。飛んでいるときに負担がかかっている感じはありますか?
葛󠄀西選手
負担がかかっているか意識したことはないですけど、でもここがあるに越したことないなと。(風の)当たる部分、面積も広がると思うんで。
谷本さん
そういう考え方もありますね、翼を大きくしている部分があるかも。あとV字で飛んでいますから足が開いていっちゃう。それを内側にギューと締めるような働きが大腿筋膜張筋にあります。きれいなV字を保つときに役に立っているんじゃないかと思うんですよね。
葛󠄀西選手
ほんとだ。ちゃんと力入るんですね。だからぼくのV字きれいなんですね。
谷本さん
大腿筋膜張筋、触らせていただきます。この盛り上がりですね、ポコッと出ていますよね。中殿筋があって、この前にあるんですよ。ぼくなんか全然出てないですよ、見つからないくらい。(葛󠄀西選手は)はっきり出ています。これできれいに締めているんですよね。丸い、ちょっと小さい球が入っているような感じですね。
葛󠄀西選手
後輩のここを見ても、みんな出ていないんですけど、ぼくだけなんかすごくないですかって感じだったのですごいのかなって。
谷本さん
すごいと思います。ボディービルの人でもここがはっきり見える人はあんまりいないですね。ぼく大腿筋膜張筋がポコッと出ている写真を探したんですけど、トムプラッツっていう人でようやく出ていました。
葛󠄀西選手
すごい。
谷本さん
この大腿筋膜張筋というのは、足を内側にねじるのと、足を外に上げていくときに使う筋肉なんですよね。これが強くなると、足が、がに股にならずにまっすぐそろえられる。歩行の姿勢を整えられる筋肉なので、葛󠄀西選手のようにボコッとはでないですけど、みなさんにも鍛えていただきたいところだと思います。
第2回 腹筋鍛えて”元気に起き上がる”
谷本道哉さん
「スキージャンプ」という言い方をしますけど、飛び立ってからムササビみたいに風に乗って飛んでいくじゃないですか。だから「スキーフライ」だと思っているんですよ。スキーフライをする時って最初、時速90キロくらいで飛び出して、どんどん速くなって 100キロくらいの風を浴びているじゃないですか。そのとき耐えるのってすごく大変じゃないですか?
葛󠄀西紀明選手
意識していないですけど、たぶん腹筋とかこの辺に自然に力が入っていると思う。
谷本さん
もう意識せずにキープできている、それすごいですね。原田雅彦さんはめちゃめちゃ大変だって言っていました。
葛󠄀西選手
ははは(笑)
谷本さん
「台風の瞬間風速ぐらいなので、それを耐えるから、スキージャンプの選手は腹筋がバキバキだ」って言われていましたけど、どうですか?
葛󠄀西選手
腹筋は若い頃から一日1000回とかしていたんで、バキバキの時もありましたね。あんまりやりすぎても重くなってしまうので、適度に強い筋肉は。
谷本さん
わりと慣れて耐えられるようになってきている?
葛󠄀西選手
そうですね。減量する必要があるし、耐える必要もあるので、割れてきますよね。
谷本さん
みなさんもちろんスキージャンプを飛ぱないし、時速100キロに耐える必要もないんですが、腹筋は加齢で結構落ちるんですよ。落ちると寝ているところから起き上がれなくなるんですよね。あおむけに寝転んだら立てなくなっちゃうこともあるので、元気よく起き上がるために葛󠄀西選手のような強い腹筋を目指してトレーニングをしていきましょう。
第1回 ジャンプの動きで"立ち上がる力"
谷本道哉さん
きょうはスキージャンプのレジェンド、葛󠄀西紀明選手です。お願いします。
50歳ですよね、同い年です。
葛󠄀西紀明選手
ほんとですか。すごい筋肉だなと思って。
谷本さん
まだまだ登り坂のつもりなんで。50年後に100歳でまた対談できるように。きっとその頃現役だと思うんですよね。
葛󠄀西選手
そんな気がします、いいですねそれ。僕も一緒に登り坂のぼっていきましょう。
谷本さん
われわれファンの立場から期待するのは葛󠄀西選手にはずっと引退せずにいつまででもやっていただきたいなと無責任に思ってしまうんですけど、何歳までやるんでしょうか。
葛󠄀西選手
ジャンプ競技ですね…。4年後、イタリアのオリンピックが54歳のときにあります。その次、58歳の時ここ札幌で招致しているんですね。ぜひ地元でやってほしいですね、となると58までやるとあと2年で還暦じゃないですか。60まではやるぞと心に決めています。
谷本さん
そうすると、また2年たつとオリンピックがありますよね。
葛󠄀西選手
そうですね、やめられないですね。これはもういきつく所まであきらめずにやりたいと思います。
谷本さん
番組が続いていれば、僕も筋肉体操はやらせてください。
谷本さん
さてスキージャンプは強く踏み切ると思うんですけど、どのあたりの筋肉を使っている感じがしますか?
葛󠄀西選手
もも全体ですね、四頭筋、二頭筋。
谷本さん
(ももの)裏側もですよね。普通は立つときに「もも裏」はそんなに使わないんですけど、スキージャンプはすごく前傾するので、お尻、もも裏、それからもも前も使って、瞬間的にボンッ!ですよね。
普通はかがみこんでから飛び上がりますが、スキージャンプは一切しないですよね。ぶれるからですか?
葛󠄀西選手
そうですね、方向もぶれますし。パワ一も下に伝えなけれぱいけない。
谷本さん
風に乗りにくくなりますか?
葛󠄀西選手
たぶん、若干風の抵抗だったり。
谷本さん
スピードも落ちちゃうし。だから瞬間的に無反動で、足とお尻だけで、パンと立っていく。見せていただいてもいいですか?前傾して胸をつけているところから。
葛󠄀西選手
滑ってきて、一気にドーン!飛んじゃった。ははは、無意識に飛んじゃいましたね。
谷本さん
飛んじゃう体になっているんですね。テレビの前のみなさんは滑って飛ぶわけではないんですけれども、ももとお尻を使ってスッと立つというような練習をすれぱ、いつまでも元気で立って歩けるようになると思います。やってみましょう。