伊藤海彦です。
プロ野球はレギュラーシーズンが終わりを迎え、パ・リーグは大逆転でオリックス、そしてセ・リーグはヤクルトが優勝を飾りました。この結果に私、歓喜の叫びが止まりません。実は小学生の頃から野球少年の私は、筋金入りのヤクルトファンなんです。しかも10月3日の最終戦では村上宗隆選手が日本選手最多となる56号ホームランを放ち、最年少三冠王を決めるというこれ以上ない幕切れでした。
熱い思いは止まらない!ヤクルトスワローズの魅力はどこにあるのか、私がファンになった1993年から語りました。
ヤクルト愛を語る前に…こんな予定じゃなかった
―全日程を終了して、ヤクルトスワローズはセ・リーグ連覇が決まりましたね。
伊藤海彦キャスター
ありがとうございます。きょう私はヤクルトスワローズのファンクラブのユニフォームを着ていまして、高校時代に使っていたグローブも持ってきました。ヤクルトスワローズについて私の愛を語っていきたいなと思います。かなり偏っています。
そもそも今回の企画は、私一人ではなく、ホークスファンの井上二郎アナウンサーとセ・リーグとパ・リーグについて語り合うつもりでした。ただパ・リーグはまれにみる大混戦で、見事、大逆転優勝を果たしたのはオリックスでした。ホークスファンの二郎アナウンサーに今回の対談について聞くと、「しばらく旅に出ます。探さないでください」との返信が。
急きょ、わたくし1人でスワローズ愛を語りつくす企画になりました。
村上選手は"打っても驚かない" 伊藤キャスターの一推しは"高卒3年目"
―まずは今シーズンを振り返りましょうか、スタートダッシュから強かったですね。
やっぱり高津監督の指揮の下、去年優勝して日本一にもなった自信は相当大きい。あと今シーズンよかった点としては何と言っても村上宗隆選手、まだプロ5年目の選手ですよ。5年目というと大卒1年目ですから。その選手が50本以上ホームランを放ち、打点も130以上でチーム全体の打点の4分の1くらいは村上選手が稼いでいる。この村上選手の活躍というのはもう外せない。
<最終戦で56号ホームランを打った村上宗隆選手>
僕の中ですごく注目したのはショート長岡秀樹選手。高卒3年目の選手でショートのレギュラーをとった。ヤクルトではかつては池山隆寛選手や宮本慎也選手といった不動のショートがいたんですが、その後なかなか定着しなかった。ところが高卒の3年目、しかも八千代松陰高校って僕は千葉で高校野球やっていたんでよく見ていたチームで、高卒でドラフト5位で入った選手がチームの要となるところの守備に就いて、しかも勝負強いバッティングを見せてくれた。山田、長岡のセンターラインを固定できた、ここはかなりやっぱり大きかったですよね。
<ショートのレギュラーをつかんだ長岡秀樹選手>
投手陣は実は去年もそうなんですけど、10勝した投手が一人もいないんですよ。飛び抜けたピッチャーがいないっていうのはあるかもしれませんけども、みんながちゃんと勝っていった、中継ぎがしっかり抑え、抑えのマクガフ投手につなげるという流れをしっかりやった。高津監督就任後は、中継ぎ投手になるべく3連投させないっていう「働き方改革」をやったんですよ。中継ぎピッチャーって登板する日もしない日も、毎回肩を作ったり、作らないような日でも試合を見て球場にいることが多かったりして、ずーっと待っているんです。大変な中で「3連投させない」って決めたことで投手の負担がかなり軽減された。いろんな選手が投げることになって経験を積んでいくというような流れができたこと、これはやっぱり大きかったんじゃないですかね。
―ちなみに今シーズンはどのくらいスタジアムに通ったんでしょう?
これが意外と行けていなくて…。ナイターで席を取ろうとすると、次の日朝早いんで球場にいられないですよ。それでも見に行った中では、やっぱり村上選手が50号ホームランを打ったり、エース小川泰弘投手が完封をして自分でホームランをうって1対0で勝ったり、結構記憶に残る試合はあるので。それ以外は動画で見ていますよ、ずっと。
―村上選手ホームラン打った瞬間ってやっぱり盛り上がるんですか?
盛り上がりますけど、僕は結構冷静に動画撮っちゃうタイプだったんで、これいかに放物線をきれいに撮れるか、テレビマンとして力を入れていたんで。
ファンも盛り上がるんです。たしかに盛り上がるんですけど、好調だった時は打った瞬間にみんな「やっぱり打った」っていうんです。だからね、そんなに驚かなくなっていました。驚きというよりはやっぱりやってくれた、”村神様”だって。
始まりは1993年 ファン歴30年ならではの感慨が…
―ちょっと過去の話を聞きたいんですが、もともといつからヤクルトファンなんですか?
ポイントは1993年、この年ですね。Jリーグが開幕するんです。僕のまわりも昼休みになるとみんなサッカーをする、そんな中で僕は野球をすることを選んだんです。その年にヤクルトスワローズが野村監督のもとリーグ制覇をして15年ぶり2度目の日本一になった。
<あこがれの故・野村克也さん(右)と(2018年撮影)>
強いチームって見ていてあこがれるわけですね。もう一つは、小さいころからヤクルトを毎朝配達してもらって飲んでいて生活の習慣でした。また神奈川に住んでいたので神宮球場も近かった。
<高校球児だったころの伊藤海彦キャスター>
93年は伊藤智仁投手がルーキーで入ってきて、7勝2敗、防御率0.91という成績。僕もピッチャーをずっとしていたので、伊藤智仁さんにあこがれたんですよ。150キロのストレートに、スライダーがゲームみたいにブーンって曲がるんです。すごかったですよね。その伊藤智仁さんが一軍の投手コーチとして戻ってきた。
高津監督は93年の日本シリーズの胴上げ投手なんですよ。93年のクローザーの高津投手が今監督をし、一軍の投手コーチが伊藤智仁コーチ。僕はずっと歴史をみてきて、ばりばり若い頃だった選手たちがいまこうやって監督をして胴上げされる立場になるってもう感慨深いです。30年くらいたっているということですよね。
―海彦さんにとって、ヤクルトというチームの魅力とはなんでしょう?
村上選手をはじめ山田選手、ベテランの青木宣親選手、石川雅規投手。40代の選手と、30代、20代前半の選手とかが、ともに闘って優勝という同じ目標に向かってやっていく。ベテラン・中堅・若手のバランスがほんとにいいチームだと思いますよね。実際に観戦して思ったのはチームの雰囲気がすごくよくて、村上選手中心に声を出していて「このチームのっているな」っていうのがファンを含めてみんなわかるんです。
<トーク中も笑みが絶えない伊藤キャスター>
もともとチームの雰囲気もぴりぴりしているというよりも、アットホームなチームに僕には見えています。そういう意味でいうと「今っぽいチーム」だなと思いますね。高津監督は今の選手にあわせた言葉をかけたり、雰囲気をつくったりというのが抜群だなと思いますね。現役時代もバラエティに出たりすると実に面白い人で、それがチームに伝わっているのかなと思います。
日本一への道程…あの人との対談は実現するか?
―これからクライマックスシリーズ、勝ち抜けば日本シリーズが待っています。どんな戦いを期待しますか。
期待したいのは、パ・リーグと戦う今年の交流戦、ヤクルトは14勝4敗とパ・リーグ相手に貯金を10つくった、ここは大きな自信になっていると思います。去年オリックスを倒して日本一になった道というのを知っているチームということもあって、日本シリーズまでたどり着けばまたやってくれるんではないかと信じています。
あとは、村上選手。やっぱりクライマックスシリーズや日本シリーズに状態を上げられるか、これはほんとに大きいと思います。万が一この調子のままずるずるいってしまうようなことがあると、投手陣がすごく頑張ってくれるのを信じたいと思いますが、非常に厳しい戦いになると思います。逆に村上選手の調子が上がってきたら、チーム全体も盛り上がりますし、投手陣もすごく楽になると思いますので、このあとのシリーズのカギを握るんじゃないかと思います。僕は信じています。
個人的にはオリックスとの再戦もありだと思うんですけど、この人ね、欠席のままでいいのかと。やっぱり日本シリーズを前にね、ホークスファンの井上二郎アナウンサーとやっぱり一回「どっちがどう勝っていくのか」という話をしたいなというのが思いでして。
<「まだあきらめていないぞ!オリックスはすばらしいけれど(井上二郎キャスター談)>