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コロナ禍 介護の現場は…

NHK
2021年6月4日 午前10:00 公開

高齢者にとって重要な介護サービス。
いま新型コロナウイルスの影響で厳しい状況に直面しています。
2020年に確認された介護事業者の倒産は118件と介護保険制度が始まって以来最多となりました。
感染を恐れ介護サービスを利用する人は減る一方で、対策のコストは増え、事業者の経営が圧迫されています。
そしてその影響はサービスの利用者にも及んでいます。介護の現場を取材しました。

都内で訪問介護などのサービスを展開する事業者です。

利用者 「よろしくお願いします」

身の回りの介助などサポートを必要するおよそ200人の高齢者のもとを45人のスタッフが日々訪ねています。
利用者にとってこうしたサービスは欠かすことのできないものになっています。

介護サービスの利用者が減り経営難

17年前から介護サービスを提供しているこの業者。
訪問介護とあわせ、リハビリを中心にデイサービスも提供してきました。
いま感染への恐れから利用する人が大幅に減っています。
最大18人が利用できるこの施設。多いときで半数近くがキャンセルすることもあります。
利用者が減っても感染対策のコストは増えています。
器具を使うたびに除菌は欠かせません。

消毒液などの費用は月々およそ10万円ほどかかります。
空気清浄機などの購入も迫られました。
対策した結果、感染者は出ていませんがそのコストは経営に大きくのしかかっています。

介護事業所「ケアフレンド豊島」 岸川和文 代表 「今回のコロナでやっぱりいろんな他の業務も増えました。やっぱり感染のりスクがあるので(対策は)減らすわけにはいかないので、そこは結構大変な状況ですね」

政府から感染対策の補助金や雇用調整助成金も受けとったものの、月々100万円近い赤字が続いているといいます。

ケアフレンド豊島  岸川和文 代表 「本当に厳しい感じで、もう使命感だけかな」

介護の利用控え 健康面にも影響が

コロナで介護利用を控えることは高齢者にもデメリットが生じています。
ここで介護サービスを利用してきた梅田正男さんです。

7年前、脳梗塞で右半身が動きにくくなったためリハビリを行ってきました。
しかし去年4月、感染を恐れた家族などの意向もあり施設に通うのをやめました。
休んで2か月もすると足腰の動きか鈍くなるのを感じるようになりました。

梅田正男さん 「だんだんと足が重い。他の体操やっても上手に(足が)あがらなかったりするんですよ」

施設で感染することより、施設に行かずに体に不具合が生じることを恐れるようになった梅田さん。
再びリハビリに通い始め、体調への不安は減ったといいます。

コロナ禍 どう利用するべきか

介護にくわしい専門家は、コロナ禍で介護の利用を控えるべきかはどちらがよりリスクがあるか判断する必要があるといいます。

東洋大学ライフデザイン学部  高野龍昭 准教授 「過度に新型コロナに感染することを心配して介護サービスを手控えるということではなく、感染対策はしっかりやられているってことを前提として介護サービスは従来とおり使って頂くほうが、健康に過ごせるであろうと思います」

今回取材した事業所はなんとか経営をがんばっていましたが、専門家の高野さんはこうも指摘していました。
高齢者がふだん利用している介護サービスが提供されなくなったり、縮小されると認知症にともなう症状が悪化するおそれもあるそうです。
ですので、感染対策が前提ですが、介護サービスの利用を継続するのは重要だと話されていました。
利用者の健康を維持しながら介護事業者の運営も支えていくことが行政を含め社会全体に求められていると感じます。

(おはよう日本 薄井賢司)

【2021年4月3日放送】