【動画で解説】おはBiz 原発政策で政府が新方針 再稼働・新増設も…

NHK
2022年8月29日 午後0:00 公開

政府が打ち出した「原発」の新方針。再稼働を進めるだけでなく、新たに原発を作る、増やすことも検討…と踏み込んだ内容に。

電力不足、ウクライナ情勢による供給不安への対応が求められていますが、安全性の確保など課題や懸念もあります。

このニュース、神子田キャスターが詳しく解説します。

政府は24日、東日本大震災以降、稼働を停止していた原子力発電所のうち7基の再稼働を、2023年の夏以降目指す方針を確認しました。

これは24日に開かれた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で打ち出されたものです。

具体的には▼福井県にある「関西電力」高浜原発1号機、2号機▼宮城県にある「東北電力」女川原発2号機▼島根県にある「中国電力」島根原発2号機については、安全確保のための工事を行ったうえで再稼働を進める。

これに加えて▼新潟県にある「東京電力」柏崎刈羽原発6号機、7号機▼茨城県にある「日本原子力発電」東海第二原発については、再稼働に向けた地元の理解を得るため国が前面に立って対応することにしています。

さらに既存の原発を最大限活用するとしていて、現在最長60年まで可能な原発の運転期間延長のほか、今より安全性や経済性が高い次世代の原子炉の開発や建設について検討し、具体的な方向性について22年の年内をめどにまとめるとしています。

西村経済産業大臣は「原子力についてもあらゆる選択肢を排除することなく検討していくことが必要」と述べました。

新方針を示した背景は?

新しい方針を示した背景には何があるのでしょうか?1つは今の「電力不足」です。加えて、ウクライナ情勢などによるエネルギーの供給不安をきっかけに、必要な電源を国内で確保する「エネルギー安全保障強化」の必要性が高まっているためです。

もう1つの背景が「脱炭素」です。2050年のカーボンニュートラル実現に向けた対応が迫られているということです。

政府は2030年度には、必要な電源のうち二酸化炭素を排出しない原子力発電で20%~22%をまかなう計画を掲げています。

ただ今のところ国内にある原発36基のうち、福島第一原発事故のあとに再稼働したのは10基で、政府の計画の実現にはさらに10基以上の稼働が必要な状況です。そのため、再稼働する原発を増やすことを検討しようとしています。

原発の新増設も検討

さらに今回注目されるのは、既存の原発の再稼働にとどまらず新しく原発をつくったり増やしたりすることも検討するとしたことです。

政府は福島第一原発の事故以降、国民感情に配慮して原発の新設や増設は「想定していない」としてきましたが、そうした慎重な姿勢から「検討する」と一歩踏み込んだかたちとなります。

懸念、課題も

ただ、原発の再稼働と新増設も含めた原子力の活用にはさまざまな懸念が伴います。

安全性の確保」や「テロ対策」、「事故が起きた際の周辺住民の避難計画」。さらに「地元からの同意」や「国民の理解」が得られるのか、政府の新たな方針の実現に向けては多くの課題が残っています。

(解説委員 神子田章博)

【2022年8月25日放送】