若いスターが次々とあらわれるプロ野球の中でも、私にとって前半戦で一推しの選手が千葉ロッテマリーンズの松川虎生選手です。
キャンプの時から「堂々としていい表情だなあ」と注目していたところ、高卒新人のキャッチャーとして史上3人目の開幕スタメンを勝ち取り、佐々木朗希投手が成し遂げた完全試合でもバッテリーを組んで一躍注目を集めました。ファン投票で選ばれたオールスターでは優秀選手と、まだ18歳だというのに目を見張る活躍を見せています。
「毎日野球ができて楽しい」と語る松川選手に、急成長の秘訣はなんなのか迫りました。
(おはよう日本 キャスター 堀菜保子)
充実の前半戦 "余裕を持って配球できるようになった”
―プロ野球選手になってキャンプから含めて半年くらいたちましたけれども、ここまでどのように感じていらっしゃいますか?
松川選手
本当に、キャンプから始まっていいときも悪いときもあると思うんですけど。やっぱり試合に出る限りはチームのために、最善を尽くすことがすごく大事かなというふうに感じます。そこだけを、勝つためにそこだけは意識してやっているかなと思います。
―キャンプに入ってきた当初は今の自身の立場は想像されていましたか?
いや想像はしていなかったですね。
―高校生からプロになって、大きく違いを感じるのはどういうところがありますか?
高校とは違って、毎日試合があるというところがまずは一番大きいかなと思います。本当に毎日試合ができるということで。やっぱり野球に対する考え方だったり、そういう部分がもっと自分の中で広がる。そこではすごく感じることがありますし。本当に毎日野球ができて楽しい、本当に充実しているのかなと思います。
―前半戦キャッチャーとして印象に残っている部分や手応えをつかめた試合や場面、具体的にあげると、どの試合・場面になりますか?
開幕戦、マスクをかぶらせていただいて勝てたっていうのはすごく印象に残っています。あとは(佐々木)朗希さんの完全試合は、すごく偉大なことだなと思うので光栄だなっていうふうに感じました。
―ここまでマスクをかぶり続けてきて、開幕戦からここまでの自身のなかでの変化はどう感じられていますか?
そうですね、バッターの待っている球種だったりピッチャーが投げたいボールだったりっていうところを観察しながら配球するところがまだまだ足りないですけど、余裕を持って配球できるようになっているところが、今は成長しているのかなと思います。
―「余裕をもって配球をできるようになった」というのは、何がそうさせているのか…
開幕戦のときは1球1球に集中していたんですけど、野球は流れがあると思うので、打線もつながっていきますし、その中で状況によってバッターの洞察力だったり、そういう部分が見えていることが、こういう余裕につながっているんじゃないかなと思います。
―最近でいいますと、美馬投手が7月18日の試合終了後に、「松川選手のリードがあったから」という言葉がありました。例えばあの試合ですとご自身で手応えを感じた部分、ありますか?
(ソフトバンクの)デスパイネさんが打者のときのカーブの使い方は本当によかったなと思います。すごく縦にも入ってましたし、フォークもふつうに見逃されていましたので。あまり接点のないカーブで三振をとれたというのは僕の中でもいい配球ができたかなと思います。
―7月20日の試合でいいますと、西武・山川選手への第1打席から第2打席への心がけ、意識の面ではどういった心持ちだったんですか?
1打席目にシンカーを完璧に捉えられましたので、2、3打席目も中に入ってくるシンカーをたぶん待っていたと思う。そうじゃなくて、カーブを使いながら目線をずらしてインコースへのツーシームを突っ込めたことが、3、4打席目にもつながったんじゃないかなと思います。
―そういった配球、観察・分析のために、日々心がけていることはなんでしょうか?
ピッチャーとのコミュニケーションはすごく大事にしていることなので。試合が始まってからイニングのあとにまだまだコミュニケーションがとれていない部分もあると思うので、しっかりピッチャーとキャッチャーとの話をしっかりすりあわせながら攻めて行けたらなあと。もっと、幅が広がるんじゃないかなあと思います。
―いま佐々木朗希投手はマメで登板ないかと思いますけれども、投げられない中でどんなコミュニケーションをとられていますか?
そうですね、ロッカーも隣なので。マメというか、ちょっとこう手のひらを見せてくれますし。オールスターまで投げないと思うんですけど順調にきてると思いますし、オールスター明けからどんどん放れると思う。そこはコミュニケーションというか話し合いながらできているかなと思います。
―同じバッターと何度も対戦するリーグ戦のなかで、配球面での難しさ、そのために何が必要だと感じていらっしゃいますか?
そうですね、本当に同じバッターが続きますし、ピッチャーが悪いときもいいときもあると思う。その中で悪いなりに抑えないといけないと思いますし、バッターもどんどん振ってくると思いますので目線を変えたりという部分はキャッチャーとしても意識してやっています。ピッチャーの調子がいいときにはもっともっと引き出せる部分がありますので。まずは次につなげられるようにと意識してやっています。
―やはり日々できることがどんどん増えていく、自身が成長するのは楽しいですか?
楽しいというか…。勝負していく中なんで負けたくもないですし、前の悔しさをっていうのは意識してやっています。それが次に勉強してつながっているんじゃないかなと思っています。
後半戦へ "新人王は意識しない、目標は勝利だけ”
―バッティングの面でいいますと、最近レフト方向への打球も出てきています。自身の中で意識を変えた部分、つかめた部分はあるんですか?
タイミングの部分で今まで差し込まれた部分はあると思う。福浦さん(打撃コーチ)からも「試合のときはタイミングがすごく大事だよ」と言われていましたので。あとはバットを出す意識、上からしっかり最短で出す意識を今はしています。それが結果につながっているのかなと思います。
―今後、後半戦にも入っていきますけれども、ご自身の目標をお聞かせ願えますか?
そうですね、本当にまず前半戦あと残り3つ、本当に大事な試合だと思う。まずは目の前の相手を1戦1戦しっかり勝ちきれるように頑張っていきたいです。後半戦も負けられない戦いが始まっていくと思うので、どんどん積極的にいけるようにしっかり勝ちにこだわってやっていきたいなと思います。
―具体的な目標としてはいかがですか? 周りからは新人王への期待の声もこれから聞こえてくるかと思うんですけれども…?
本当に「勝ち」だけだと思う。特に自分でというところはないですし、なんとか最善を尽くして頑張っていきたいなと思っています。新人王はあまり意識してないです。まあなんとかいい結果で終われるように、そこだけは意識してやっていきたいなと思います。
―それから9回、最後まで試合を締めたいという意識や思いはありますか? そのために今後磨いていきたいという部分は、どういうところでしょうか?
最近9回で代わって勝ってますけど、本当に勝つということがすごく大事なことだと思いますので、自分の中では悔しさっていうのはありますけれども。なんとか9回1点差を任せられるキャッチャーになりたいなと思っています。
まずはピッチャーから信頼を得るというところがすごく大切かなと思います。やっぱりパスボールすると、ピッチャーからも信頼がなくなると思うので、そういう部分でもっともっと信頼されるようにキャッチャーとして頑張りたいなと思っています。
本当にリーグ優勝、日本一というのは本当に僕の中でも意識しています。なんとかチームが優勝できるように個人としてもいい結果で終われるように、最大限いまをしっかり大事にしてやっていきたいなと思います。
―これからも頑張ってください、ありがとうございました。
【2022年7月29日放送】