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地域局アナ推し!「鉄道の日」特集 秋田犬と西陣織の地から“出発進行”

NHK
2021年10月13日 午後4:00 公開

突然ですが、渋谷駅のシンボル「青ガエル」、最近見なくなったと思いませんか?実は、渋谷駅の再開発のため去年8月に移設されていたんです。どこに行ってしまったのでしょうか・・・?

10月14日は「鉄道の日」。全国各地の地域局にいるアナウンサーたちが、とっておきの “ご当地鉄道ニュース”をお届けします。

「青ガエル」は 「秋田犬の里」にいた!

こんにちは。この春、秋田局に着任した新人アナウンサーの山中翔太です。去年8月にクレーンで吊られて大移動した「青ガエル」は今、秋田県の大館駅前にいるんです。

青ガエル」と山中アナウンサー

なぜ大館なのか。実は渋谷との深~いつながりがあるんです。大館市は“秋田犬のふるさと”といわれ、渋谷駅前のもう一つのシンボル、忠犬ハチ公も大館出身。その縁で大館市と渋谷区は以前から交流が盛んで、今回、移設にあたり青ガエルは渋谷区から譲渡されたのです。    

【ニュース】渋谷駅の「青ガエル」 忠犬ハチ公のふるさと秋田 大館に設置

大館駅前にある「秋田犬の里」

青ガエルは、高度経済成長期に活躍した東急電鉄の鉄道車両です。丸みのあるしもぶくれした形から「青ガエル」と呼ばれ親しまれました。

廃車になったあと、2006年からは渋谷駅前に置かれ、待ち合わせ場所の目印や観光案内所などとして利用されてきました。

私も青ガエルには思い出があります。熊本出身の私は、大学入学後に初めてやって来た渋谷の華やかさに圧倒されました。その時、駅前で渋く佇む青ガエルのフォルムがなぜか愛らしく思えて、ホッとしたのを覚えています。去年11月、大館駅前にある観光施設「秋田犬の里」の広場にお目見えして、まさか再会できるとは、嬉しい限りです。

“秋田の冬 越えられるか・・・”心配した大館の人々

大館へやってきてすぐに、地元の人たちが気にしたのが、青ガエルが寒い秋田の冬に耐えられるのか、ということでした。というのも半世紀以上も活躍してきた青ガエルは、大館に来た当時、表面の塗装が剥げていたり、サビが浮かんでいたり・・・人間で例えるなら、お肌がカサカサな状態だったんです。

そこで大館市は、クラウドファンディングで青ガエルの補修費を集めることを思いつきます。題して「青ガエルメイクアッププロジェクト」。長年、風雪に耐えてきた青ガエルのお肌に潤いが戻るかのようにきれいに塗装し直そうという取り組みで、約3か月で県内外からおよそ128万円もの寄付が寄せられました。そのとき寄せられたメッセージからは、青ガエルが渋谷の街で多くの人に愛されていたことが伝わってきます。    

「青ガエルくん、現役時代乗ってました!メイクアップで疲れを癒やし、大館で未来永劫活躍して欲しいです。」

「渋谷で見かけていた青ガエルが父の故郷大館にお引っ越しと聞いて嬉しかったです!」

そして、青ガエルは、サビを落とし、穴をふさいで全面塗装しなおした姿で今年4月、再び「秋田犬の里」へ。

今では大館市でも人気者で、訪れる人は写真を撮ったり、広場でのんびり過ごしたり、県外から鉄道好きの人が訪ねてくるケースも増えているそうです。実際に青ガエルを見に来ていた人にお話を聞いてみると、千葉県から地域おこし協力隊として大館市に来ている男性は「自分も青ガエルは渋谷駅で見ていた。まさかの再会でびっくり。文化遺跡として世界に発信できないかと注目している」と話していました。

古いものを大切に ふるさとの新たな風景として

ちなみに、ここは青ガエルには寂しくない環境です。というのも「秋田犬の里」は大館市と小坂町を結び地域の足として親しまれていた「小坂鉄道」の跡地にあるのです。敷地内には線路が残っていて、週末には手漕ぎトロッコも体験できます。

ここにやって来たのは偶然ですが、鉄道車両として活躍してきた青ガエルにはぴったりの環境。

「秋田犬の里」の館長・佐藤和浩さんは、青ガエルを単なる観光資源としてだけではなく、大館の人たちの“心の拠り所”の一つになって欲しいと言います。

大館市観光交流施設「秋田犬の里」佐藤和浩 館長

「身近にあったものが、いつの間になくなってしまったというのでは寂しい。でも、新しいものを買って使うだけではなくて、古いものを修理して使うのも大切だと思うんです。

青ガエルや廃線跡を大事にしていくと、それを懐かしい、面白いと言って人が集まって来てくれて、また、そこで皆さんが楽しい時間を過ごすことで人々の心を豊かにしてくれます。

今は、“渋谷から来た青ガエル”だけど、子どもたちが大人になる頃には故郷・大館の風景として、青ガエルを思い出してもらえるような存在に育てていきたい」

館長のお話、私には胸にしみました。上京した当時、青ガエルは私にとって大都会・東京の象徴の一つでした。でも東京生活に慣れてくるにつれて身近な存在となり、友人と待ち合わせする時など青ガエルに寄り掛かり東京の空を眺めては「俺もシティボーイになったなぁ」なんて思いにふけったりしたものでした。奇しくも社会人一年生の今年、まさか初任地の秋田で青ガエルに再会して当時を思い出すなんて、初心を忘れるなと青ガエルに言われた気がしました。私にとって青ガエルがいつの間にか“懐かしい存在”になっていったように青ガエルはこれから大館の人たちにとって身近な思い出の存在に育っていくのだと思います。

走らなくなっても青ガエルは、大館の人たちを故郷と結ぶ“心の列車”としてこれからも思いをつないでいってくれることでしょう。

秋田から私もがんばります!

新型車両で京都風の“おもてなし”

続いては、学生時代は時刻表片手に全国をまわっていたという京都局・竜田理史アナウンサーから“鉄道愛”あふれるリポートです。来年、京都ならではの新型車両が京都市内の地下鉄を走るんだとか。

開業40周年に経営改善の切り札! 新型車両を導入

  アナウンサーの竜田理史です。ことし開業40周年の「京都市営地下鉄」を取材しています。8月17日の「新型車両」見学会!!車両の老朽化に伴い40年ぶりに導入されるということで、竹田車両基地に行ってきました!市営地下鉄は、コロナ禍で運賃収入も減少。厳しい状況が続いています。“乗り鉄”としてなにか力になれることはないか?そう考えた私は、いま地下鉄関係者に取材を進めています。

さて、注目の新型車両。外観デザインは3案の中から、おととし行われた一般投票で選ばれたものです。前面の造形に曲面を多用した近未来的なイメージのデザインになっています。かっこいい~!

随所に“京都らしさ”散りばめた車両

そして、この新型車両には、中にも外にも京都の伝統産業素材・技法が活用されているんです!

たとえば、先頭車両に取り付けられた京都市交通局の「局章」。これは京都の金属工芸「鎚起(ついき)」の技法を活用したもの。一枚の金属板(アルミ)を鎚(つち)で打ち、表面に細やかな凹凸状の鎚目(つちめ)模様が入っているんです。細部へのこだわりを感じます。

そして車両の中に入ると、「京都」が随所に散りばめられています。

座席の仕切り板、それにシートの柄も華やかで雅なデザイン。

そして、つり革の鞘(さや)の部分。

鞘には、杉を使った京都の伝統的工芸品「北山丸太」が使われていて、そこに着物の帯締めなどに使われる「京くみひも」が飾り付けられています。京の伝統を組み合わせた逸品!シートが空いていても、あえて立って触れたくなります。

さらに車両の連結部の壁には、寺院など伝統的な建築の装飾に用いられる「釘隠し」が、車内装備品の「ネジ隠し」として使われています。上の写真は、3号車の「シダレヤナギ」。ほかにも「京の花」や「京の木」がデザインされているので、乗車する機会があればチェックしてみるのも楽しいかもしれません。

誰にでも優しい地下鉄を目指して

そして、京都らしいおもてなしといえば、やはり乗る人への思いやり。新型車両の一番の特徴は、先頭車両に多目的スペース「おもいやりエリア」が設置されていること。車いすやベビーカーの人も利用しやすい十分な広さがあります。そして、ここに配置されている「立ち掛けシート」も「京友禅」や「西陣織」といった京都らしい飾り付けがなされています。

***車両のデザインを通して地下鉄を好きになってもらいたい

もっと地下鉄に乗ってもらいたい    ***

そんな職人の方々の強い思いを感じました。この車両は来年3月に走り始める予定です。

でも、なぜここまでやるのか!?その問いに車両制作の担当者は、こんな風に答えてくださりました。    

**京都市営地下鉄車両設計監理者 赤松義雄さん

「新型コロナの影響で乗客数が減り続け、赤字も膨らんでるが、『市民そして京都を訪れる観光客に愛される地下鉄に』という思いで思いきりました。市内の方には京都の魅力を再確認してほしい。観光で来た人には京都らしさを感じて帰ってほしい。来年3月ぜひお乗りください!」**

うーん、その気持ち、熱い!
私は幼いころから鉄道が大好きで、「出発進行!」という車掌さんのかけ声をいつも真似していました。

7歳の頃の竜田アナ

乗る人を新たな目的地に導くその声に憧れて、私も車掌さんのかけ声のように視聴者の皆さんが明るく前向きな気持ちなれるニュースを伝えたくてアナウンサーを志しました。

これからも見る人を明るい気持ちにできるような鉄道の取材を続けていきます!

明るく楽しく鉄道のニュースも伝えていきます!

「#NHK鉄道の日」おはよう日本でも!

14日(木)「鉄道の日」の放送では6時40分頃から、「青ガエル」情報のほか、京都市営地下鉄の車両基地から中継でお伝えします。

NHK京都局 竜田アナのブログはこちら

10月14日(木)の放送はNHKプラスでもご覧いただけます

(秋田局 山中翔太アナウンサー 京都局 竜田理史アナウンサー おはよう日本 越智望ディレクター)

【2021年10月14日放送】