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今も続く子どもたちの睡眠の乱れ 専門医による対策も

NHK
2021年11月10日 午後2:00 公開

今も続く子どもの睡眠の乱れ

今、子どもたちの睡眠の乱れが問題になっています。学校生活が元に戻りつつありますが、新型コロナウイルスの感染拡大の時に、一斉休校になったり部活が休止になったりしたことで子どもたちの生活リズムが乱れ、その影響が継続しているというのです。視聴者の皆さんからもオンライン授業で生活リズムや睡眠に影響が出たなどという声が寄せられています。今も続く子どもたちの睡眠の乱れ、現状を取材しました。

明らかになったコロナ禍による睡眠の乱れ

取材に応じてくれたのは、大阪府の堺市に住む中学3年生。2020年の春、一斉休校が行われて以来、自宅でタブレットを見る時間が増えています。学校生活が通常に戻りつつある今もその習慣が続き、朝起きるのがつらいと言います。

中学3年生
「ゲーム、その次がユーチューブ。下手したら1日中、触っていたりします。翌朝学校に行くまでの腰が重いというか、気が乗らないというか、進まないというか」

堺市は2020年12月、市内の小中学生およそ3万5000人を対象に、就寝時間などの調査を行いました。その結果、午後11時以降に就寝すると回答した割合が、すべての学年でコロナの前より増加していました。堺市は主にネットを見る時間が増えたことが理由だと見ています。

就寝時間が遅くなる傾向は今も続いています。調査に参加した堺市の三原台中学校では、睡眠に支障があるなどと訴える生徒が増え、改善のための面談に乗り出しています。

生徒指導の教諭 「睡眠が短くなってきている生徒というのは何かしらの異変というか、異常をきたしていますし、人間関係でちょっとトラブルを起こしたりとか、コロナ禍の影響というのは大きかったと思っています」

深刻な睡眠障害につながるケースも

コロナ禍での睡眠の乱れがより深刻化するケースもあります。子どもの睡眠障害専門の外来があり、入院治療を行っている多摩北部医療センター(東京都東村山市)。ここに10月下旬、中学3年生の女子生徒が入院しました。女子生徒は一斉休校の時、深夜まで動画投稿サイトを見るようになったと言います。その後はなんとか学校には通っていたものの、2021年の夏休みに入ると悪化。親に声をかけられても起きることができなくなりました。9月以降は一度も登校できず睡眠障害と診断されて入院することになりました。

女子生徒 「どんどん夜が寝られなくなって、本当に眠れない。それが結構つらい」

2021年、この病院の睡眠障害の外来を受診した子どもは、コロナ前の2倍近くになっています。感染が落ち着きをみせた10月も15人近くが訪れました。治療に当たる小保内俊雅医師は、コロナ禍で生活リズムが乱れたまま、立て直すことができていないと指摘します。例えば、緊急事態宣言が出るたびに部活がなくなり、午後や休日の時間をもてあましてしまったことや、親がテレワークになり、起きる時間が遅くなるなど家庭内のリズムも変わったことなどが要因として考えられると言います。こうした大きな環境の変化によって睡眠が乱れ、それを元に戻すには時間がかかると小保内医師は話しています。

小保内俊雅医師 「学校が非常に子供たちの生活リズムを作るのにいいペースメーカーになっているが、コロナ禍はそういうものが全部なくなってしまった。家庭の中のリズムも変わってしまった。子どもたちの睡眠が乱れたり生活リズムが狂ったりする大きな理由と考えている」

コロナ禍で影響を受けた睡眠をどうやって元に戻すのか。入院した女子生徒は、朝起きる習慣を取り戻すための治療を受けています。起床の時に人工的な光を浴び、決まった時間に起きられるようにします。さらに自分で一日のスケジュールを決め、生活リズムを作っていきます。

入院しておよそ2週間、女子生徒は、朝自分で起きられるまでになりました。

入院した女子生徒 「6時に起きて10時に寝るということに、もう慣れてきた。学校に行けるなら行きたいと思っているのでここで治したいと思っています」

小保内俊雅医師 「睡眠のリズムを自分で改善していく。どういう風に生活リズムを作ろうかって言うことを本人に考えさせるっていうところからやってほしい」

自分で睡眠を管理するアプリで対策

睡眠を乱さないように子どもたち自らに意識させようとする取り組みも始まっています。10月下旬から兵庫県たつの市の龍野東中学校で生徒全員が使うようになったのが、睡眠時間などを記録するアプリです。

朝のホームルームで、寝た時間や起きた時間、朝食をとったかどうかなどを自分で入力します。入力した結果が分析され、改善が必要かどうかアドバイスが表示される仕組みです。規則正しい生活になっているか、日々自分で記録することで、自己管理をできるようになることが狙いです。

女子生徒 「結構いろいろ質問があって使いやすいです」

男子生徒 「もうちょっと早く寝ようと意識して、親からも最近は早く寝ているとか褒められたりするようになったのでよかった」

道前弘志校長 「子どもたちの睡眠に対する意識が高まると思います。十分な睡眠を取ることで元気になるという、そこを目指したい」

乱れた睡眠 どう立て直す?

多摩北部医療センターの小保内医師は、睡眠の乱れを戻すために重要なこととして2つのポイントを挙げています。

まず朝起きる時間を一定にするよう心がけること。たとえ前の日に寝るのが遅くなっても、翌朝同じ時間に起きるようにする。これを徹底することで生活のリズムが整っていくため、最も重要だとしています。そして2つ目は、起床時間を一定にするためにも一日のスケジュールをどのようなものにするのか、就寝時間を含めて自分で決めて守っていくことが大事だとしています。

(大阪放送局記者 宗像玄徳)
(おはよう日本ディレクター 石川理詩)