「マイバッグ」や「マイボトル」など、いろいろな"エコ"への取り組みをしている方も多いのではないのでしょうか。
でも、そのエコがどのくらい効果があるのか実感できていますか?
今回は、「マイボトルを使うことはどれくらいエコなのか」検証していきたいと思います。
(おはよう日本キャスター 伊藤海彦、ディレクター 植村優香)
すべてを数値化して検証する「LCA」
検証に使うのは「LCA(ライフサイクルアセスメント)」という考え方です。
商品やサービスについて、「製造から廃棄までの全ての過程の温室効果ガスなどの環境負荷を計算し、数値化する」のがポイントです。
主に企業が製品の環境負荷を測るために使われていますが、私たちの身の回りのエコ商品にも当てはめて使えるというのです。
お話を聞いたのは環境工学が専門の、東京大学大学院 中谷隼准教授です。
マイボトルの効果を測るには、まず「シナリオを決めること」が必要だといいます。
外出先で水が飲みたくなったとき、わたしたちがとる行動はどんなパターンがあるか。
中谷さんが考えたパターンを全部あげると…。
例えば、「水をマイボトルに入れて持って行って飲む」のにも様々なパターンがあります。
ペットボトルの水をマイボトルにいれるのか。または水道水をそのまま入れるのか。
さらに、それを冷蔵するかどうかによっても排出される温室効果ガスが変わってくるのです。
ペットボトルの水を購入する際も、何mlのペットボトルを買うか、輸入品かどうか、冷蔵で販売されているかなど細かい条件を設定。比較をしていきます。
検証① 「自販機で買う」か「マイボトル」か
ではまずは、マイボトルを使うことはどれくらい効果があるのか。
「外出先で自動販売機で水を購入する」のと、「自宅で大きなペットボトルの水を購入してマイボトルに入れて持って行く」2つのパターンを、水500 mLあたりで比較します。
計算の結果は、やはりマイボトルを使うほうが、全体では半分ほど排出量が少ない結果となりました。
検証② マイボトルの中は「ペットボトル」か「水道水」か
次に「マイボトルを使う」という条件の中で、「ペットボトルの水」と「水道の水」のパターンを比較してみます。
すると、圧倒的に水道水のほうが排出される温室効果ガスの量が低いという結果に。
マイボトルを使うだけでなく、なるべくペットボトルの購入を減らすことがより効果的だということがわかりました。
検証③ 「常温の水」や「リサイクル」の効果は
また、店で売っている水を購入する場合でも、少しでも温室効果ガスの削減につながる行動があります。
それは「常温販売」の水を買うということ。店舗で冷蔵する際に排出する温室効果ガスを削減できます。
こうした細かい環境負荷を検証することも、LCAの大事な役割です。
最後に、ペットボトルを自動販売機で買ったあとどうやって捨てるかによっても違いが出てきます。
分別してリサイクルすることで、焼却処理した場合に比べて大きく温室効果ガスの排出を抑えられるという結果がでました。
中谷さんによると、ライフサイクルについての情報は、一般消費者が使えるようなデータはまだまだ少ないということです。
消費者がエコを具体的に考えられるようにするためにも、国や企業には積極的に消費者に役立つような形でデータを開示していってほしいといいます。
社会全体で"より効果的なエコ"を実践して、温室効果ガスの削減につなげましょう。
▼あわせて読みたい▼