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マスクが子どもの発達に影響?コロナ禍の子育て

NHK
2021年7月4日 午前11:00 公開

【2020年11月12日放送 2021年6月23日更新】

「新しい生活様式」としておなじみとなっているマスク。相手の表情が読み取りづらく、不便に感じている方も多いかもしれません。いま、マスクで顔が見えないことが、不便なだけではなく、子どもの脳の発達にも影響があるかもしれないとわかってきました。

<この記事のポイント> ◆顔や表情を学ぶ赤ちゃんの脳 マスクで顔が見えないことへの懸念 ◆相手の気持ちを考える4歳~10歳の脳 マスクがコミュニケーションの壁に ◆顔を見せあえる近しい大人が積極的に表情を見せよう

保育現場 見えてきたマスクの影響

保育士がマスクを着けて対応する保育園では、口元を見せることができず、子どもたちと信頼関係を築きにくいという声が保育士から相次いでいます。例えば、「よくできたね」や「えらかったね!」とほめても、子どもたちには意図が伝わっていないといいます。

喜怒哀楽の"顔"を学ぶ赤ちゃん

生物としてのヒトの脳と心の発達を専門に研究している京都大学の明和政子教授は、特に生まれてから1歳くらいまでの時期の子どもとの接し方に注意が必要だと言います。

この時期の子どもは、いろいろな人の顔やその動きを見て、表情を学びます。そのとき重要なのが、目・鼻・口の3点です。

すべてが揃って、赤ちゃんは「これは顔だ」と理解するようになります。その後、数か月かけて、笑ったり、怒ったりといった喜怒哀楽の顔の区別を学習していくといいます。

こうして身につける「顔と表情を区別する能力」は、その後、「相手の気持ちを理解する能力」の土台となります。

京都大学大学院教育学研究科 明和政子 教授 「目だけで情報が通じ合うのは大人の世界です。子どもたちは表情のなかのたくさんの情報を使って、少しずつ少しずつ、相手の表情、感情というものを理解していくわけです。そういった経験が今回のコロナ禍において一気に失われていく可能性が高いです」

意識して"顔を見せる"

明和教授は、マスク生活が続くなか、赤ちゃんが表情に触れる機会を増やしていくことが大切だといいます。家庭でも、家族がこれまで以上に表情を見せることを意識してほしいということです。

マスクがコミュニケーションの壁に

マスク生活による異変は、小学校でも起きています。ある小学校の休み時間に、1年生の教室で起こった友達同士のけんか。

たまたま手がひっかかったことに「ごめんね」と謝ったものの、マスクをしていたためか相手に伝わらず、けんかに発展してしまったようです。ささいなトラブルはよくあるものの、いつもよりコミュニケーションに苦労する場面が増えたといいます。

"相手の視点に立って考える"小学生の脳

明和教授によると、4歳から10歳くらいの子どもの脳は、「相手の視点に立って考えること」を発達させる時期だといいます。コミュニケーションを通して、相手はどう思っているのか、自分はどのように振る舞ったらいいのかをイメージする能力が芽生えてきます。

京都大学大学院教育学研究科 明和政子 教授 「いつもは、相手の立場に立つ経験が学校の中で豊かにあったはずです。子どもたちはどこまでそういった経験を豊かに持つことができるのかという点は、学校の先生方と一緒に考えていきたい問題だと思います」

ボディランゲージを活用

就学前後の子どもたちに有効な方法として、明和教授は感情を体で表現する方法を提案しています。うれしかったら「やったー」、悲しかったら「悲しい」と、表情が見えない分、いつも以上にボディランゲージを使って、コミュニケーションを試すことも1つの工夫だといいます。

子どもたちの成長は日々刻々と進んで待ったなしです。家族などが積極的に表情や気持ちを伝え合う機会を作り、心の距離を近づけていくことが求められています。

【2020年11月12日放送】