どうなる日本経済!? 後藤達也さんと中空麻奈さんが斬る②

NHK
2022年8月19日 午後1:43 公開

日本経済はどうなるの!?SNSのフォロワー数38万超えのフリージャーナリスト・後藤達也さんと、外資系証券会社のストラテジスト・中空麻奈さんとの徹底討論から、前回の記事では、「上がる物価」「上がりにくい賃金」についてお伝えしました。

今回は「おはよう日本」の放送にも入りきらなかった未公開インタビューを蔵出しでお届けします。キーワードは ①円安 ②日銀の金融政策 ③財政 の3つです。

①“円安”は今後も進む?

外国為替市場で続く円安。年明けは1ドル=115円台でしたが、7月には139円台と、およそ24年ぶりの水準まで円が安くなりました。

2人はこれからの円相場をどう予想しているのでしょうか?

後藤さん

「為替相場を読むのは非常に難しいが、この半年で円安がかなり進んできた。だいぶよいところまで来たのではないかと個人的には思っている」

後藤さんは、円相場はこの先1ドル=130円程度で行ったり来たりする可能性が高いのではないかと見ています。そのうえでアメリカのインフレを注目点に挙げました。

後藤さん

「最近いろんな条件を見ていると、ようやくインフレもピークアウトする(頂点に達して今後下がっていく)というデータがそろってきている感じがある。この傾向が続けばインフレも収まってきて、アメリカの中央銀行も利上げをする必要性が弱まってくる。そうなれば円安ドル高というのは一服しやすいのかなと」

中空さんも同じような予想でした。

中空さん

「今までの円安は、基本的に日米の金利差で起きている。ただ、スタグフレーション(景気が後退しているのに物価が上がること)になると思う。(アメリカなどの中央銀行が)金利を上げることは景気を落としていくことになるので、『景気を悪くしすぎた』という反省が年末に向けて出てくると、円安の今までの流れが円高方向に行くと思っている」

ただ中空さんは、日本が経済成長しなければ再び円安の流れが加速しかねないと指摘します。

中空さん

「日本が構造改革をきちんとやって成長していく、そういうことにならないのであれば、基本的にはやはり円は売られやすい。日本の人口がどんどん減って、競争力が下がっていくことを前提にするなら、中長期的には円安から離れられないと思っている」

②日銀の金融政策はどうなる?

円安の要因として指摘されているのが、アメリカとは対照的に大規模緩和をかたくなに維持する日銀の姿勢です。金融政策はどうなるのか、どうあるべきか、2人に聞きました。

中空さん

「私から言わせてもらうと、前回、前々回ぐらいの金融政策決定会合の場で、金利というのは下げるだけでなく上がることがあるのだということを(黒田総裁が)主張すべきだったと思う。これから1年のうちに日銀総裁も替わるので、(黒田総裁の任期は2023年4月まで)タイミングをとらえて金融政策を徐々に変更していく意思は表してよいのかなと思う」

後藤さん

「最近“悪い円安”という言葉も出てきているが、一方で輸出企業にとっては恩恵もあるので、為替の理由だけで日銀も利上げして円安を食い止めるというようなことは基本的には起こらないと思う。仮に利上げするとしても、日本経済はまだまだ弱い。金融政策を修正するとしても、今まで“超緩和”だったものを少しだけ手綱を緩めるというぐらいのことしかできないというのが実態ではないか」

また後藤さんは、日銀が掲げる2%の物価目標について疑問を呈しました。

後藤さん

「黒田総裁になってからもう9年余りがたった。異次元とも言われる金融緩和をやってきて、この目標設定が正しかったのか。そもそも2%とは『ほどよい物価上昇』なのかということも(日銀総裁人事を機に)改めて問い直さなければいけないと思う」

③悪化する財政 健全化か、歳出増か

国の財政が一段と悪化しています。国債や借入金などを合わせた政府の債務は、2022年3月末時点で1241兆円余りと過去最大を更新しました。

財政に対しては、2人の間でやや見方が分かれました。

中空さん

「私は財政健全化をすごく推している。つまり借金が多すぎると、国債の格付けが落ちてしまい、資金調達コストが上がる。日本の国債の格付けは韓国に負けている。それだけ弱い財政なんだと、一人一人知る必要があると思う。また、地震などの災害が起きたときに何が一番重要かというと、財政が健全であることだ。不測の事態の際に国のお金が使えなくなるかもしれないということに、もっと問題意識を持たなくてはと思う」

後藤さん

「私は少し中空さんと違う。当然、財政は健全なほうがよいが、一方で政府が十分にお金を使っていないのではないかと感じる。例えばコロナ対策にしてもアメリカと比べると金額の規模が小さく、結果として日本経済の回復力が弱かったところもある。子育て支援などにも、もっとお金を出してよいと考えている。

また日本国債を持っている人の9割ぐらいは日本人なので、すぐにお金を貸してくれなくなるという状況ではないように思う。実際、日本の財政が危ういと20年、30年も前から言われていたが、本当に鬼気迫るような形で金利が上がることはなかったし、この先もすぐには変わらないのではないか」

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