【インタビュー】女子バスケ渡嘉敷来夢選手「後ろは見ない、楽しみでしかたない」

NHK
2022年9月21日 午後5:09 公開

バスケットボール女子のワールドカップが9月22日から開幕。東京五輪で銀メダルに輝いた女子の代表に、心強い選手が加わります。長年日本のエースとして活躍してきた渡嘉敷来夢選手、31歳です。足の大けがで東京五輪には出場できませんでしたが、けがを乗り越え、世界一になるために再びコートに戻ってきました。

力を込めて語ったのは、「後ろを見ることはない」とひたむきにプレーする決意でした。

失意のオリンピックを乗り越えて 「ケガを理由にしない」

ーいよいよW杯ですよね。今どんな心境ですか。

渡嘉敷来夢選手

まず本当に12人に残れてよかったなっていう気持ちと、ここからあともう1ヶ月もないですけど、しっかり気持ちも体も仕上げていきたいなと。

ー渡嘉敷さんにとってワールドカップ、今回はどのように臨もうと思っていますか?

渡嘉敷選手

久しぶりの世界大会という事もあって、オリンピックにも出られていないので、このワールドカップは日本も注目されている分、私が再び帰ってきたことで周りからの注目度も高いと思いますし、あとは世界的にも日本は注目されていると思うので、足を引っ張らないようにしっかりと自分の役割、存在感を出していきたい。銀メダルを取った後なので、「渡嘉敷いない方が良かったじゃん」って思われないようにプレーしないといけないなとは思っています。

―東京オリンピックは出られなくて、日本が世界と戦えるとチームメイトが証明してくれた喜びと、出場できなかった悔しさがあると思います。その悔しさは消化されましたか?

渡嘉敷選手

消化されないですね。正直、いくら今バスケット頑張って、例えばこのワールドカップで金メダル取ったとしても、この気持ちは消化されないんじゃないかなって思う。まずはパリオリンピックに絶対に出る、出たいというのも込めてやらないと、この気持ちが消化されないんじゃないかなあと思う。このワールドカップで優勝するとオリンピックが決まるので、そうしたら少しは気持ち的にはうれしいと思いますね。

―ケガからここまで大事にしてきた「言葉」はありますか?

渡嘉敷選手

「ケガを理由にしない」ケガしたからこうだったというマイナスな方向には行かないようにしています。

ケガしていなかったらもちろんオリンピックに出られたかもしれないし、もしかしたら自分も銀メダリストの一員になっていたかもしれない。でもなんだろう、そこでもし銀メダルを取ってたら今、自分はこういう気持ちでたぶんしゃべっていないと思うんですよ。もう多分満足しちゃって。みんなが銀メダルという結果を出してくれたから、もう1回この歳になってもうまくなりたいとか、もっと上を目指したいっていう気持ちが持続しているので、ケガしてめっちゃ良かったとは思わないですけど、ケガしたことによって人としてもプレーヤーとしても自分経験値上がったなって思っているので。

もう起きたことは変えられない。たまに下向くことはありますけど、後ろを見ることはない。なんかそんな感じです私。

―悔しいという思いから、自分をどう今の自分に持ち上げたのでしょうか?

渡嘉敷選手

シンプルに誰にも負けたくないんですよね。ポジションが違おうが国が違おうが本当に誰にも負けたくないので、ただもうその気持ちだけです。あとは自分自身も31歳で上の方に来てますけど。それでも自分自身の気持ちはまだ若手というか、若い子にも負けられないし、もっと自分自身うまくなれる、なりたいなって思っている。その気持ちだけだと思って。

31歳でも「伸びしろしかない」新たな武器は3ポイントシュート

―自分個人の中でまだまだ伸びしろがあると。

渡嘉敷選手

伸びしろしかないですね。まだまだここからかなと思う。

―自分の伸びしろで今期待してることはなんでしょう?

渡嘉敷選手

スリーポイントじゃないですかね。打てなくはなかったんですけど、打っていく中で少しずつ自信がついたり、それこそ昨日より今日の方が絶対にシュートのタッチや経験がプラスされてくるので、日に日に3ポイントに関しては、自信を持っている。空いたら思い切って打っていこうというのは、もう常に試合の中では決めています。前だったら、誰か?どうしようとか、ガードに渡したいという気持ちがあったと思うんですけど、今は空いてたら打っちゃおう。ディフェンスがきたら抜いちゃおうって思う。

―どなたかのフォームをまねしたというのはありますか?

渡嘉敷選手

まねはしてないんですけど、やっぱうちのチームはシューターが多い。東京オリンピックのときも宮澤選手の3ポイントはすごい。ずっと近くで見ているので、やっぱ入らない時に「こういうタイミングの時はどうしているの」というアドバイスはもらうようにしてますね。「ちょっと足が遅れちゃってるんじゃない」とか。だから「ボールが来るときにはもう足を準備してるよ」っていうアドバイスをもらいました。そういう感覚を聞くことによって、自分もやってみてよかったら使えばいいし、駄目だったらやっぱり、これではないんだなってすごく勉強になる。みんな人それぞれ得意不得意ってあるので、そこはやっぱり3ポイントが得意な人たちにもう聞くしかないです。

―ゴール下で戦っていたら、3ポイントを打つのはしんどくないですか?

渡嘉敷選手

しんどいっすね。もう相当削りあいみたいなとこあるんで、我慢比べというか、どっちが先にばてるかみたいなと、ある意味ボクサーのKO勝ちみたいなところもあるので、しんどいですよね。そっからまた走らなきゃいけないですけれど、ただその恩塚さんのスタイル的にプレータイムシェアが多いので、もう出てる間は思い切って走る。その後ベンチで休めるしと思いながら出ている間はもうしっかりやります。

新チームで臨むW杯 その先のパリオリンピックへ

―ヘッドコーチがトム・ホーバスさんから恩塚亨さんに変わり、何か変わったことはありますか?

渡嘉敷選手

全然違いますね。トムさんは「一人一人のやるべきことを明確にしてスペシャリストを集めて使う」という感じですけれど、恩塚さんはどちらかというと「カウンター」。相手がこうして来たらこうしよう、考えないでバスケットをしてほしいという感じなので、そこがもう大きく違うなと思います。

あんまりフォーメーションとか考えると体動かなくなるんで、そんな感じで自分もやってるんですけど、考えちゃいますよね。

―今のチームで渡嘉敷選手の役割はなんでしょうか。

渡嘉敷選手

やっぱり身長が一番あるので、リバウンドだったり、相手の大きい選手をしっかりと守りたいなとは思っていて、特別、恩塚さんからはこれがおまえの役割だって言われてないんですけど、多分そういうところを求めているのかなって。

―ワールドカップの意気込みは。

渡嘉敷選手

恩塚さんになってから初めてのワールドカップ、もちろん金メダルを目指しているんですけど、まずは自分たちのバスケットが世界でどれくらい通用するのかっていうのもしっかりと証明したい。その先にまた良い結果に繋がってくると思うので、まずはこのやってきたことをしっかりとワールドカップの舞台で出します。それで優勝して、オリンピックを一番に決めたい。

あとやっぱり今もWNBAとか見ていて、そこ出場している選手だったり、オリンピックに出た海外の選手と対戦できるのは楽しみ。オリンピックの時もそこが悔しかったですね。海外の選手と戦えないっていう悔しさはありましたし、やっと海外の選手と戦えるっていう気持ちなので今回そこはすごく楽しみにしてます。

―見てもらいたいところはどんなところでしょう?

渡嘉敷選手

全部見てほしいですね。もう渡嘉敷来夢が帰ってきたっていうのを見てもらう。もちろん代表のプレースタイルもあって、自分がすごく点取ったりアピールできるプレーばっかりではないんですけど、そういう派手なところじゃなくても、しっかり体を張ったディフェンスだったり、高さを生かしたリバウンドっていうところを見てほしいな。あとはやっぱ世界でも、自分のスピードっていうのが武器になるんじゃないかなっていうのは今でも思っているので、そこをしっかりと出せたらチームもずっといい結果に行くんじゃないかなって思って。

―良い結果を出すためにはアメリカを倒さないといけないですね。

渡嘉敷選手

アメリカ強いですからね。ただ、本メンバーで来るのかなっていうところはちょっと疑問に思っていて、アメリカに勝つためには自分たちが機動力だったり、高さがない分チーム全員で守ってチーム全員で攻めるっていうのがすごく大事になってくると思います。アメリカも日本の小さいけどガチャガチャしてるバスケは好きじゃない。そこを突くのが一番勝てる可能性が見えてくるのかな。

―ちなみに、渡嘉敷選手個人としての目標はなんでしょう?

渡嘉敷選手

1試合に1本は3ポイント打って決める。っていうところと、やっぱ相手の身長高い選手を1人でも守れるんだぞっていうのがあったり、あとリバウンド。日本が今まで高さがない分、小さいところで負けてたって言われてたのを、少しでもそんな派手なところじゃなくて、そういう小さいところで、頑張っていけたら。そこを見てほしい。

―その先にやっぱりパリオリンピックがあると思います。オリンピックへの思いは?

渡嘉敷選手

いや、出たいですね。オリンピックの舞台に立ちたい。東京でやるよって決まったときからずっと思ってた夢だったんで、じゃパリ行くしかないっしょって(笑)。

【2022年9月22日放送】