ニュース速報
データ分析 コロナ禍で変わる消費行動
NHK
2021年4月19日 午前10:53 公開

新型コロナウイルスで、みなさんの「お金の使い方」変わってきていませんか?NHKでは、コロナ禍における消費行動の変化を“家計簿”から読み解いてみました。日々の収入や支出を記録する家計簿ですが、いまは20代から40代を中心にスマホのアプリで管理する人が少なくありません。

その「家計簿アプリ」。50万人以上のビックデータを個人を特定しない形で分析してみると、“ある特徴”が浮かび上がってきたのです。

注目は「教育・教養」「エンタメ」の動き

前の年と比べて、この1年間どのくらいお金を使ったのか、項目別に1か月ごとの変化を示したグラフです。

100%のラインが、感染拡大前の水準を示しているのですが、特に落ち込みを見せたのが、「交際費」と「交通費」。感染の広がりを受けて、急激に減少。その後、回復は見せますが、再び落ち込んでいます。

一方で、違う動きを見せたのが、「教育・教養」と「エンターテインメント」。同じように、はじめは減少するのですが、その後は、感染拡大前を上回る回復を見せています。取材を進めると、オンラインを舞台に新たな支出のスタイルが生まれつつあることがわかってきました。

利用者が増えた「オンラインスクール」

横浜市に住む米内山さん親子です。去年から3人の子どもをオンラインの学習塾で学ばせるようになりました。

毎日、30分から1時間。子ども3人で月2万5千円ほどを支払っています。

今回、NHKが調べた家計簿アプリのデータでも、「オンラインスクール」を利用する人の割合は、去年3月以降に急増。前の年の2倍から3倍ほどの状態が続いています。

当初は、コロナ対策としてオンライン学習塾を選んだ米内山さん。自宅で学習する習慣も身に付くと考え、今後も継続したいとしています。

支出急増するライブ配信の“投げ銭”

エンターテイメントの分野でもこれまでに見られなかった支出が急増していることが分かってきました。

その一つが「ライブ配信」で行われている“投げ銭”と呼ばれるものです。

“投げ銭”とは、スマートフォン上で生配信をする出演者に対し、いわゆる「おひねり」と同じ要領でアプリ内の通貨を投げるというサービス。国内で累計のダウンロード数が1000万を超えたアプリもあります。

こうした投げ銭で、一定の収入を得ている人も増えています。フルート奏者の森口九喜子さんは、去年11月からライブ配信をはじめたところ、多くのファンが見に来てくれるようになりました。

夫と一緒に、1日4時間の配信を続けている森口さん。多い時で1日10万円相当の“投げ銭”をするファンもいるといいます。

NHKが分析した家計簿アプリのデータでも、“投げ銭”をした人の割合はこの1年で、およそ3倍にまで増えています。

ライブ配信会社の担当者は、「コロナ禍というのもあって、人とコミュニケーションをとりたい人とか視聴者側として(応援を)できるという部分でコロナ禍においては特に親和性が高いと思っています」と言います。

エンタメ関連では、このほか、「動画配信サービス」や「家庭用のプロジェクター」も利用や購入が伸びています。キーワードはいずれもオンラインです。私たちは、コロナで自粛しながらも新たな「遊び」や「学び」のスタイルにシフトしてきたのだといえます。

なぜ?コロナで高まる“防災意識”

そして、もう一つ私たちが注目したのが「防災用品」への出費です。1万人あたりどのくらいの人が、非常食や、防災セット、簡易トイレを購入したのか、割合の変化を示したグラフです。これまで、大地震や台風など、大きな災害のたびに大きく伸びますが、すぐに急落。災害への備えが長続きしていないことが分かります。

しかし、この1年は高い状態が継続していました。どういうことなのでしょうか。

都内に住む田井裕貴さんは、コロナの影響で「備蓄」の意識が強くなったといいます。

食料や水は、期限が切れる前に定期的に購入するようになりました。さらに、緊急事態が続く中で防災用品も増やしてきたといいます。

災害用のトイレ。そして、カセットボンベで暖が取れるストーブも購入。かかった費用は、1年で10万円ほどに上ります。

田井裕貴さんは「コロナが続いて、平穏な日常がいつまでも続いているわけではないんだなと感じるのがきっかけになった」と語ります。

兵庫県立大の木村玲欧教授は、コロナの感染が長期化する中、防災意識の高まりが続いていると指摘します。

「コロナという非日常という生活を送る中で、非日常に対する意識が強くなり、その結果、災害対策についても継続的に備えるようになった。(災害について)継続的に考えたり行動に移したりする人が増えてくるのではないか」

新たな消費スタイルはこれからも続くのか

取材した方々はいずれも、コロナが収まった後も、今のスタイルを続けていくと話していました。

はじめこそ「感染対策にもなれば・・・」と取り入れたものが、結果的にいろいろなメリットがあることに気がつき、むしろそれが日常となった。

こうした変化は今後も徐々に広がり、ポストコロナにおける新たなスタンダードにさえなるかもしれません。

(社会部 記者 齋藤恵二郎)
(ネットワーク報道部 ディレクター 森田将人)
(おはよう日本 ディレクター 髙野浩司)

【2021年3月31日放送】